ドラクエⅡ考察~呪われし姫君と名も無き英雄

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まずは王女についての証言を集めてみる。
ムーンブルク王
『わが むすめは のろいをかけられ いぬにされた という。
 おお くちおしや……。』
城内の魂
『ひがしの ちに 4つのはしが みえる ちいさなぬまちが あるという。
そこには ラーのカガミが! これを つたえるまで わたしは しにきれぬのだ……。』
地下室の兵士
『ひめさまは のろいで すがたを かえられ どこかのまちに…。
ひめの のろいを とくには しんじつの すがたをうつすという ラーのカガミが ひつようです!』
地下室の兵士(リメイク版)
『ああ 姫さま……。 私は 姫さまを おまもり できませんでした……。
そのため 姫さまは 呪いで 姿を変えられ どこかの町に…。
しかし もし 真実の姿を うつすという ラーの鏡が あれば……。
姫さまの呪いを とくことが できるでしょう……。
旅の人よ どうか 姫さまを 姫さまを……。 ぐふっ!』


 素直に考えるなら王女を犬にしたのはハーゴンかその配下だろう。しかし実は誰も呪いをかけたのはハーゴンだと明言してはいない。なので、別の見方も可能である。
 『ムーンブルクの家臣が王女を逃がすために犬にした。』と…

 王女の姿よりも犬の姿の方が目につきにくいし逃げ足も速い。結構理に適っている。
画像 オープニングでは王が王女に地下室に隠れるように指示しているが、その後すぐに王は戦死してしまう。そうなると地下室の王女は逃げられない。一応護衛の兵士はいるようだが、ハーゴン軍から王女を守り切るのは無理だろう。
 もしここに犬になると通れる小さな抜け道があったとしたならば、王女が生きて逃げのびられる可能性はグッと高くなる。
 それからムーンブルク城ではラーの鏡による呪いの解き方に関する情報も得られる。呪いをかける方法を知っているなら当然それを解く方法も知っているはずである。
 そう考えると王女を犬に変えたのは家臣だという説も信憑性もある。しかしまだ問題はある。それは王女が呪いをかけられた事を教えてくれる王の魂と地下室の兵士である。
 王の魂の方は自分が死んだ直後だし、王女が呪いをかけられた時点での状況は把握出来てはいないだろう。命を助ける為とはいえ犬に変えたのが家臣だったと知ったら複雑な気持ちだろうなと思う。辻褄はギリギリ合わなくもない。
画像 地下室の兵士はどうか?呪いをかけたのは彼ではないようだが、王女の呪いの真相に近いところにいる生存者なのは間違いない。少なくとも王女が呪いで姿を変えられた事と、生きてどこかの町に落ちのびた事は知っている。姿を変えられたのは知っているようだが、その姿が犬だと知っているとは限らない。
 彼とは別の家臣が王女を犬に変えて王女をどこかの町に逃がしたという情報を聞いただけなのかもしれない。
 家臣が呪いをかけた説との矛盾点はないか?
 いや、リメイク版で彼は『姫さまを おまもり できませんでした……。』と言っている。王女が生きてどこかの町に逃げのびていて、(可能性はともかく)ラーの鏡で呪いを解くことが出来ると知っている。その上で“守り切れなかった”と言っている。
 この兵士は王女が呪いで犬にされる事から守り切れなかったと言っているのだ。
 よって、王女に呪いをかけたのはハーゴン側で決まりだ。

画像 ハーゴンが王女を犬にしたのは確定だとして、『何故王女を生かしたのか?』『何故わざわざ犬にしたのか?』という疑問が生じる。その疑問に答える前に、ハーゴンが王女をどう思っていたのかを確認しておきたい。
 結論から言えばハーゴンは王女というかロトの子孫を何とも思っていない。倒された時にも『おまえらごときに やられるとは。』とやはり特別視はしていなかったようだ。
 元々ロトの一族との因縁は無いし特別警戒はしていなかったのだろう。ドラクエⅡ世界でのロト伝説はアレフガルドとロトの子孫の国と精霊ルビスの中でしか通用していない物語なのだ。
 ハーゴンのムーンブルク侵攻の目的はムーンブルクの異教徒を根絶やしにすることだ。だからわざわざ王女だけを生かしたのは謎なのだ。
 考えられる事は王女を犬にすることで死ぬ以上の苦しみを与えようとしたということ。犬に変えられるのは人としての尊厳を著しく損なう。王女という高貴な身分ならなおさらだ。
 ムーンブルク王や兵士たちは死して後もさまよう魂となり、獣と化した王女の姿を見せつけられ、苦しみ続けるのだろう。

 ムーンブルク人を死して後も苦しめるために王女を犬に変えたとしたら、さらに疑問が生まれる。『何故ラーの鏡を放置したのか?』
 獣に変える呪いで苦しめるのだったら呪いを解く方法を残しておくのは間抜けな話である。
 ハーゴン軍はラーの鏡の存在を知らなかったのか?その可能性は低いだろう。ハーゴンが呪いのかけ方を知っているなら、その解き方を知っているのは間違いない。ムーンブルクがハーゴンの呪い対策(ラーの鏡)を用意しているのは自然なことだし、逆にハーゴンがそれを知っていてもおかしくはない。
 あえて希望を残しておいて、そこに手がかかった瞬間にもう一度絶望に叩き落とす気だったとも考えられる。そのためにラーの鏡の在処だけは押さえといてボスモンスターを配置するなどの罠を張っておく。そうすればムーンブルク人の魂は再び絶望するはずだ。
 しかし実際はハーゴン軍の妨害も無くラーの鏡は手に入る。

 もしかしたら、ハーゴン軍はラーの鏡を押さえたくても押さえられなかったのではないか。

 前回『ムーンブルク落城とハーゴン軍の沈黙(後編)』
   http://togege.at.webry.info/201105/article_6.html 
 によるとムーンブルクの『バイオ兵器』によってハーゴン軍は甚大な被害を被り撤退を余儀なくされた。
 こんな状況下では犬に姿を変えた王女の行方を追うのも、ラーの鏡を奪うのも出来なくなってしまったのではないか。もっとも小娘ひとり(犬一匹)ごときハーゴンから見れば取るに足らない小さな存在なので放置しても問題無いと判断したのかもしれない。後にそれは大きな過ちだったと分からされるが…
 こうして王女は幸運にもハーゴン軍からの追及を逃れることが出来た。

【名も無き英雄の知られざる物語】
 ムーンブルクの防衛体制を一瞬で無力化するほどの見事なハーゴン軍の奇襲により、ムーンブルクはパニック状態。
 王は戦死、城の落城は間違い無し、魔物の狙いは皆殺し、王女は呪いで犬に変えられる…
 誰もがムーンブルクの滅亡を確信し、絶望していたであろう。

 しかしその中で、希望を見出した者が存在した。
 ハーゴン軍はムーンブルク人を死よりも苦しい絶望に落とすために王女に呪いをかけたのだが、それを『ムーンブルクが生き延びるチャンス』と捉えた者がいたのだ。
 こんな絶望的な状況の中で『犬に姿を変えられれば逃げ易くなる』などという逆転の発想が出来るのは間違いなく『天才』である。
 この『天才』は落城確定の防衛戦の中、自分たちの勝利条件を見出す。
  “王女を逃がす”と“ラーの鏡を隠す”にである。
 『天才』の頭の中には王女を元に戻すビジョンから逆算された戦略があった。
 そのために打つべき手を生き残った者たちに明確に、そして的確に指示をする。
 ローレシア、サマルトリア、西の祠への伝令。ラーの鏡持ち出し。そして彼らを助けるための陽動など。
 自分たちが生き残る可能性はほぼ無い。しかし未来への希望はつながる。そんな思いでムーンブルク城の人々は絶望的な戦いを命尽きるまで戦い抜いた。
 その魂はロトの子孫たちに受け継がれ、ハーゴン討伐の力になるのだ。

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この記事へのコメント

togege
2011年06月02日 21:49
ムーンブルク西の祠で通せんぼしている神父様は王女生存の確信があるようです。ムーンブルク落城のパニックの中、けっこう正確な情報が伝わってたようですね。

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