ドラクエⅡ考察~女傑・ムーンブルク王女

画像【王女の人物像】
 ムーン王女の人物像を語る上で絶対外せないのが、短期間ながら犬として生きた過去があるということ。魔物に国を滅ぼされ家族や知り合いは皆殺しにされた上で自分は犬として生き延びた、とんでもないトラウマのダブルパンチである。
 ドラクエシリーズではⅣの主人公が冒頭で故郷を滅ぼされているが、人のままである。波乱の人生と言えば奴隷や石にされたⅤの主人公も凄まじいが、王女から野良犬という落差にはかなうまい。

 ムーン王女はどうやって犬として生き延びたか?
 それまで人間として生きてきた王女に犬としての経験値は当然ゼロだ。野生の獣としての食糧調達はまず不可能だろう。犬になった王女が食糧を調達する方法は町に入って、残飯漁りか親切な人間に愛想を振りまき尻尾を振ってエサを恵んでもらうことだろう。普通に考えればつい最近まで王国の姫君として育てられていた者に出来る事ではない。王族としてのプライドどころか人間としての尊厳すら捨てて生き延びていたのである。
 王女は人間としての尊厳を捨ててでも生き延びる凄い精神力の持ち主である。
 そして犬と化した身で何が出来るか、何をすべきかを考えた聡明さもあり、行動力や決断力もある。真の王者としての才能を持った人物なのは間違いない。

【王女の生きる理由】
 ここまで想像を絶する辛い思いをしてまで生き延びたムーン王女を支えたものは何かを考察してみる。
①ハーゴンへの復讐心
 この感情は間違いなくある。自分をこんな目に会わせた恨み、父王を目の前で惨殺された恨み、国民を虐殺された恨み、故郷を滅ぼされた恨み。
 もしかしたら一生このままかもしれない不安に押しつぶされないように、彼女を支えた感情の大部分は『怒り』なのは否定出来ないだろう。
 犬として生きる屈辱に身を震わせながら、このまま終わってたまるかと自分を奮い立たせていたのだろう。

②王族としての責任感
 『呪われし姫君と名も無き英雄』
http://togege.at.webry.info/201106/article_1.html において、ムーンブルクの家臣たちは絶望的な状況下で犬と化した王女を逃がすために奮戦した。
 家臣たちの思いはひとつ。『王女さえ生き残れば必ずムーンブルクは甦る!』彼ら自身の生き残る望みは皆無である。その中、自らの命と引き換えに自分たち亡き後のムーンブルクの希望を無力な犬と化した王女に託したのだ。
 王女自身も絶望的である。意味死ぬより辛いとすら言える。
 しかし絶望に押しつぶされるわけにはいかない。王族として国民たちがその命と引き換えに残した希望をつなげなくてはいけない。
 家臣の1人が必ず元の姿に戻すと約束した。その言葉を信じてただ待つ。それが出来た彼女の王族としての責任感も一級である。

③ロトの血の宿命
 犬であった時には特にロトの血というものは意識はしていなかっただろう。しかし怒りで自らを奮い立たせる精神力や王族としての責任感、人を信じる力の根底にはロト一族として受け継がれた精神もあったはずである。
 また打倒ハーゴンは王女の生きる目的のひとつではあった。それは当初は復讐だったのだろうが、ローレ王子とサマル王子と旅を続ける中でごく自然にロトの血を引く者としての使命へと変わっていった。

【王女の聡明さ】
画像 リメイク版で加筆されたこの台詞からは王女の性格と考え方がうかがえる。
 物事の成すべき事と考えるべき事の優先順位を明確にし合理的な答えを出せる人物だと言える。王子たちと共にハーゴン討伐をすると決め、余計な感情や思考はスッパリ意識的に頭から追い出せるのだ。

 近いうちに犬から人へと戻れると信じていた王女は当然戻った後の事も考えていたはずである。
 人に戻った後の王女の目的は2つ。ハーゴンへの復讐とムーンブルクの再興である。

 王子たちと合流した時点でハーゴン討伐を優先したのは何故だろうか?
 王子たちの目的がそうだったからというのもある。それ以上に『今がハーゴンを倒すチャンス!』と考えたからではないか。ムーンブルクの奮戦ぶりとハーゴン軍がムーンペタまで侵攻してこない事からハーゴン軍はムーンペタでの戦いで大きな損害を受けて戦力が弱体化してると踏んだのではないか。
 ハーゴン軍の戦力の全容は分からないにしてもその戦いぶりは自分の目で見ているし、自国の戦力については王女という身分であっても聡明な彼女なら把握していた可能性は高い。あの時点で最も的確な戦力分析や戦略についての洞察が出来たのは王女だったに違いない。

 切れ者と言えばサマル王子もそうだが、王女はもっと徹底していると思われる。自国を滅ぼされる経験をした王女にはサマル王子に残る“甘さ”はまず無いだろう。“甘い”サマル王子は反王子派ともきっと分かり合えると思っていたと思われる。“甘い”サマル王子なら敵とだって共存出来ると考えていたかもしれない。しかし“甘くない”王女は違う。“敵”には容赦しない。特に復讐で動いていた当初の彼女は。
 王子たちとの旅やハーゴンとの戦いの中で王女たちの心境や考え方にどのような変化が生じるのだろうか…?

この記事へのコメント

togege
2011年07月06日 22:13
小説を書ける力量があればムーン王女が復讐から勇者としての使命に目覚める心境の変化なんて書いてみたいものですが…
かわいい見た目に反して良すぎる頭と本当はキツい性格。ちょっと並みの男には手に余る女性だと思います。

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