ドラクエⅡ考察~英雄・ローレシア王子の足跡③なぜルプガナ?

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 今回はロトの子孫が揃って、風の塔に行って、ムーンペタに帰って来た時点でのローレ王子たちの方針について考察する。

【なぜルプガナ?】
 ゲーム中では風の塔の次に行くのはルプガナである。なぜルプガナなのか?船を手に入れるため?いや、ゲーム中ではムーンペタ等この地方の人からは『北西の砂漠を越えるとルプガナの町があります。』『ルプガナで船を手に入る』などと言うヒントは一切ない。
 行ける場所を当たって辿りついた先にたまたまルプガナの町があったというだけだ。身も蓋も無い言い方をすれば他に行ける所が無かっただけの話だ。
 多くのプレイヤーが『ルプガナに行く目的は?』と訊かれて答える『船を手に入れるため』はあくまでも想像の産物あるいは結果から見た錯覚だということだ。
 そこで多くのプレイヤーが想像で補ってきたルプガナ行きの目的を、ドラクエⅡの世界に生きる王子たち視点でもっと掘り下げて考えてみたい。

【前提条件】
 王子たちはルプガナの存在を知ってはいるはずだ。王子たちにとってのルプガナは決してあての無い無計画な旅路の果てにたまたま辿りついた未知の町ではない。
 では何故ルプガナを知っているのか?それはまず王族としての教養として世界地図くらいは見た事はあるだろうし、主要な国や都市のこともある程度は知っているだろう。特に自分たちの偉大なる祖先であるロトの勇者の生まれ故郷アレフガルドは当然知っている。そのロトの勇者のローレシア建国までの足跡も当然知っているだろう。
 つまりムーンペタ→ルプガナのルートはゲーム中ではノーヒントだが、王子たちにとっては既に知っていた事実であり常識なのだ。既に常識になっている事はわざわざ教わる必要はない。今更何言ってんだという話だ。

【王子たちの選択肢】
 王子たちのムーンペタの次の目的として船を手に入れるためにルプガナ行きを決めたが、本当はもっと他に選択肢があったのではないだろうか?
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【直接ロンダルキア?】
 まず王子たちの本来の目的であるハーゴン討伐。ハーゴンのいるロンダルキアは直線距離としてムーンブルクのすぐ近くである。よって最短距離でロンダルキアに向かい、ハーゴン討伐を果たすというのは考えられないことではない。
 結論から言えばこの案はボツになった。

 その第一の理由はムーンブルクとロンダルキアの間には険しい岩山があり、行き来が不可能であること。秘密の抜け道があるのかもしれないが少なくともゲーム中では見つからない。
 それにムーンブルクから直接ロンダルキアに行けるのならムーンブルク軍がそれを使っていただろうし、そのルートがムーンブルク軍とハーゴン軍の間の最前線になっていただろう。
 ハーゴン軍、特に正規軍の悪魔族には空を飛べる魔物が多い。その点でハーゴン軍はムーンブルクに対してイニシアチブを持っていた。逆にムーンブルク軍はハーゴン軍の空からの侵攻に対し常に受け身の戦いを強いられていた。そのため大灯台からの監視することで未然にロンダルキアからの攻撃を察知し、未然に防備を強化することでそれまでロンダルキアからの攻めを凌いできた。
 つまりロンダルキアを監視するための大灯台の存在がムーンブルクからロンダルキアに行くルートが無い事を示している。
 ボツになった第二の理由は戦力的に勝ち目が無い事。相手はムーンブルクを瞬く間に滅ぼした程の強大な魔物の軍団である。王子たち自身のレベルもそうだし、小国ローレシア・サマルトリアの軍事力ではとても敵わない。スライムやドラキーと戦うのとはわけが違う。

 というわけでこの時点で直接ロンダルキアに攻め込むのは諦めるしかなかったが、早くロンダルキアに攻め込みたい事情もある。
 それはハーゴン軍がムーンブルクを捨てて撤退せざるを得ないほどの被害を受けていて戦力が落ちているからだ。しかしその戦力低下は一時的なものであることも分かっている。風の塔でリビングデッドやリザードフライなどの魔物を作り、戦力を増強している所を目の当たりにしたからだ。時間がたてばハーゴン軍は軍を再編成し、ムーンブルク落城時以上に強大な軍団を作りだすことが分かったからである。

【ハーゴン征伐軍の編成】
 ハーゴン軍に撤退を強いるほどの被害を与えたとはいえ、ムーンブルクの方の被害はそれを遥かに上回る。軍の壊滅どころか民間人も含め人間自体がほぼ皆殺しにされている。ローレ王子は当初ムーン王女を救出したら彼女の元に集うムーンブルク兵の生き残りを集めて軍の再編成をするつもりだった。しかし現状それは事実上不可能だった。ローレ王子はこの予想を大きく上回る悲惨な状況に頭を抱えたに違いない。
 ハーゴン征伐軍の担い手をもっと広い範囲から、それこそ世界中から集めなくてはいけないと考えた。

【テパの情報】
 ローレ王子が救援を求める先の候補に真っ先に上ったのはアレフガルドで、その次はテパだろう。アレフガルドは自分たちの遠縁に当たる間柄なので当然として、テパの方もそう意外ではない。テパはムーンブルクから近く、強力な武具もある。
 しかしテパ行きは実現しなかった。テパに行こうにも船が無かったからだ。ハーゴン軍はムーンブルク城だけでなく近隣の港町やそこの船を全て破壊したからだ。

 では船が残っていたらテパに行ったか?そうは思わない。テパもロンダルキアに近く、攻め落とされた可能性もあるし、元々シドー教徒の土地なのでハーゴン側についた可能性もある。実に危険だ。実際満月の塔を押さえられたテパは表向きハーゴン側についてしまっている。何よりもそれらの情報は破壊し尽くされたムーンブルクにいる王子たちには一切入ってはこない。そんな状況でテパに踏み込むのは無謀で迂闊だと言うしかない。

【ローレ王子の決断】
 ローレ王子の結論はアレフガルドに救援を求める事。しかし船が無いので、かつてのロトの勇者の足跡を遡って、ムーンブルク→港町ルプガナ→アレフガルド というルートに決めた。

 一見遠回りだが、ハーゴン討伐に必要なものを揃えるために『急がば回れ』が正解だと考えた。

 ローレ王子はハーゴンの脅威に対抗する為には世界中の人々の力を結集する必要があると考えた。ただ集めるだけでは一つの大きな力にはなり得ない。それらを束ねて同じ方向に向かわせる事が必要である。勇者ロトのカリスマ、物語によってそれを実現しようと考えた。
 勇者ロトの物語によって世界中の人々の力を結集する、その中心に自分がいるのだという自覚が生まれ始めている。

この記事へのコメント

togege
2011年08月15日 23:22
 当然のように王子たちの旅について来るムーン王女ですが、彼女は本来ムーンブルクを立て直すという役割がありました。
 しかしムーンブルク人が殺され過ぎて人がいないのと、毒やゾンビに汚染された上に再びハーゴンに襲われるかもしれない場所に人は集まらない、以上の理由から当面のムーンブルクの立て直しは難しいと判断しました。
 ハーゴンを討伐して脅威を取り除くとともに、自身のムーンブルク再建の象徴としてのカリスマ性を高めるために王子たちに同行した方が、回り道のようでもムーンブルク再興の近道なのだと考えたのでしょう。

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