ドラクエⅡ考察~スライムブルー後編

画像 スライムブルー・ローレシアが何故弱いか?前編では生産性の低い土地の気候条件という切り口から、中編ではローレシアの建国王ロトの勇者の英雄性に脅威を抱いたムーンブルクによる徹底した封じ込め政策によるものだと考察した。

 今回はスライムブルー・ローレシアの外交について考察する。

【もう一つの隣接国デルコンダル】
 デルコンダルにとってローレシアは地図上の距離が最も近い。しかし会話や店の品揃え等ゲーム中の情報からは交流は活発ではなさそうに見える。確かにスライムブルー前編で述べたようにデルコンダルから見て旨味の無い土地なのかもしれない。しかしそれでもデルコンダルがローレシアとの関わりが全く無いということはあり得ない。ローレシアはともかくデルコンダルの方は海世界側の国である。北の大地の新興国に接触するのは当然の流れだ。船を持っていない“かもしれない”ローレシアだが、国の南には直接デルコンダル城とつながる旅の扉があり、デルコンダルとの接触にそれを使った“かもしれない”。

 ただ、デルコンダルがローレシアをどう見ているかはハッキリしている。
 ナメきっている。
 それは王子たちがデルコンダル王に謁見した時に猛獣と戦わせたことから明らかである。『わしを楽しませて見せろ』などと言って猛獣と戦わせるのは一国の王族に対する非礼どころではなく奴隷剣闘士並みの扱いだ。
 たしかにスライムブルーと揶揄されるほどの弱小国ローレシア、それと同等の弱小国サマルトリア、魔物に滅ばされた亡国ムーンブルク、ナメられる要素はある。それにデルコンダル特有の極端な武断主義も背景にあると考えられる。(デルコンダル、そのルーツより
 このあまりにも無礼な態度、それこそがデルコンダルとローレシアの間の関係を表しているのではないだろうか。そう、ローレシアは常々デルコンダルに頭を下げる関係だと考えられる。それも土下座すらしているのかもしれない。
 少なくともケンカでは絶対勝てない。兵士の装備で敵わず、地形的にも不利なローレシアがデルコンダルを怒らせれば蹂躙されるのは確実だ。そうならない為にローレシアに出来ることは頭を下げて、貢物を捧げることぐらいである。

 ローレシアは生産性の低い土地で得た富をムーンブルクとデルコンダル両大国に吸い上げられている。それもローレシアが貧乏な理由のひとつだ。

【ローレシアが保つバランス】
画像 何故デルコンダルはローレシアを攻めないのか?
 ローレシアは住みにくく生産性の低い土地だったとしても自国の領土にするうま味は全く無いわけではない。ローレシアを掌握すれば、それまでローレシアがムーンブルクに貢いでいた富も我が物に出来る。それでもローレシアを攻めるリスクやデメリットの方が大きいのだろう。ローレシアを攻めるデメリット・リスクとは?それはローレシアを奪えば大国ムーンブルクを敵に回す事である。

 もしデルコンダルがローレシアを攻めたらどうなるか?
 ローレシアローレシアを落とす事自体は簡単だ。同盟国のサマルトリアやリリザからの援軍が間に合わないほどローレシア城の守りは脆弱だ。
 問題は占領したローレシア城は拠点として心許無いことだ。とてもリリザ・サマルトリアからの攻めを凌ぐことは出来ない。それにムーンブルクからの援軍も加わればローレシア駐留のデルコンダル軍に勝ち目は無い。ムーンブルクにとってローレシアは見殺しに出来てもリリザは取られたくないから本気でデルコンダルを追い出しにかかるはずだ。
 デルコンダルが勝つ可能性があるとすれば、謀略でサマルトリアを寝返らせることだろうか。もっともデルコンダルがそれを行う可能性は極めて低いが…

 デルコンダルとムーンブルクの間で戦争になれば一番困るのはローレシアである。そうならないように双方に頭を下げながら、バランスを取るのが代々のローレシア王の役目なのだ。

 ところでムーンブルクから見て、ローレシアがデルコンダルにも貢物を捧げているのは裏切り行為なのではないか?
 そこはムーンブルクは黙認しているのだろう。ムーンブルクも戦えば勝てるとはいえ、デルコンダルとは事を構えたくないのが本音なのだろう。本国から遠く離れたローレシアに兵を出すのは負担も大きいし、将兵たちのモチベーションを高めるのも容易ではない。自分と直接関係の無い僻地の防衛のために命を懸けられるかということだ。
 デルコンダルにしてみればムーンブルクを刺激しない程度にローレシアから絞り取るのが上策というわけだ。

【ムーンブルクの態度の軟化】
 ムーンブルクの徹底したローレシア封じ込め政策は対デルコンダルという視点で見ると酷くマズいものだと分かる。ムーンブルクから見てローレシアはデルコンダルに対する盾になる。その防衛力を削り、富を吸い上げて反感を育てている。下策中の下策だ。
 かつてのロトの勇者の脅威を憶えているムーンブルクの指導者層の中ではローレシアに力を与えるのは危険だという考えが根強かったのだろう。ロトの勇者の強過ぎる英雄性に憧れる者は多かったが、同時に恐怖する者も多かったのだ。

 だが時は流れ、世代が替わるにつれてムーンブルクの態度も少しずつ軟化してきた。何故そう言えるかというとムーンブルクの王女がロトの血、すなわちローレシア王家の血を引いているからだ。
 ムーンブルクの王か王太子の妻としてローレシアの王女を迎え入れた。この時点でローレシアの地位は建国当時から比べれば相当高くなっている。実際ゲームのオープニングでムーンブルク兵は辺境の弱小国ローレシアの王に対し敬意を払った態度で接している。

 ローレシアとムーンブルクの歩み寄り(両王家の婚姻)はかなり最近の出来事なのではないかと考えている。そうローレ王子とムーン王女はいとこ同士ぐらい近い関係なのではないかと。
 なぜならローレシアの地位向上に伴う国力強化はまだ進んでいないし、デルコンダルは未だにローレシアをナメきっている。まあ急激に力をつけるのはムーンブルクの国内や対サマルトリア、対デルコンダルなど色々な面で摩擦を生むという懸念からローレシアの地位と国力の向上はここ十数年で慎重に慎重に進められていたと考える。

画像 ムーンブルクの急激な態度の変化は何故起こったのだろう?
 デルコンダル問題に対してローレシアを強化するのは確かに上策ではある。しかし簡単にそれが出来ない因縁が両国間にはあった。
 まず時が流れて過去の確執を知らない世代になったことがひとつ。上策を採るのに抵抗が無くなったのだろう。
 2つめはローレシアの王が信頼に足る人物だったということ。特にローレ王子の父王とムーン王女の父王は強い信頼関係で結ばれた盟友(もしかしたら義理の兄弟)だったのだろう。ムーンブルク王は落城に際しローレシアの王に後を託している。
 そしてなによりもムーンブルクの南ロンダルキアの不穏な動きが目立ってきたことが最大の理由だろう。ムーンブルクがロンダルキアの脅威に対し全力で当たるためには、その背後になる北の安定は必要不可欠。それにはリリザだけでなくローレシアが必要だったのだ。

【ムーンブルク滅亡】
 国の北とデルコンダル対策を万全にした上でロンダルキアに全力を向けたムーンブルクではあったが、その甲斐も無く滅亡してしまった。
 この時ローレシアはいち早くハーゴン討伐の方針を明らかにしたが、同時に手を打たなくてはならなかったのは対デルコンダル。ムーンブルクが滅び、軍事バランスが崩れたのに乗じてデルコンダルが攻めてくる可能性があったからだ。
 実際にデルコンダルが攻めてこなかったところを見ると、ローレシア王が取った何らかの対策が上手く行ったのかもしれない。少なくともリリザ・サマルトリアと連係して守りを万全にしたのは確実だ。旅の扉を活用して政治工作をしたのかもしれない。デルコンダル側も浮足立っていてローレシア攻めどころじゃなかったのかもしれない。
 この辺は今後の考察のタネになるだろう。
 

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この記事へのコメント

togege
2011年11月14日 22:17
ローレシアが何故弱いかを語るだけなのにえらく長くなってしまいました。ローレ王子は歴代主人公の中でも最も多くの物を背負っているのだと思います。
ニック
2012年03月23日 20:28
かつて実際にドラクエIIをプレイしたときは、ローレシアを中核とした三国同盟で、ムーンブルクはむしろ周辺的に思えていたのが、全く逆の視点で語られていて楽しめました。
そう考えるとローレシア中心的なロトの子孫連合、のような見方は、弱小国家ローレシアが大国ムーンブルクに対して自尊心を満足させるための自国中心の視点なのでしょう。

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