ドラクエⅡ考察~再考察・サマルトリア王子の静かなる戦い

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 以前の考察『サマルトリア王子の静かなる戦い・
 大まかにあらすじを述べると、サマル王子はローレ王子と違い、王太子としての地位が確定していない。それどころかサマルトリアには反王子派が存在している。反王子派はサマルトリアの森の先住民族の子孫で、元々外国人であるロトの血を引く王家に反感を持っていた。反王子派は森の民として、ムーンブルクやローレシア、リリザからの影響からの独立を理想としていた。逆に言えば、サマルトリア王家の権力基盤は外圧に依存していたとも言える。
 サマルトリアの微妙なパワーバランスに変化が生じる事件が起きた。ハーゴン軍によるムーンブルク滅亡である。
 この時、サマル王子はいち早く城を脱出した。自分はハーゴン討伐の旅に出ると言い残して。これは最大の後ろ盾ムーンブルクを失ったサマル王子が国内の反王子派から逃れるためと、同じロトの血を引くローレシアと協力してハーゴン討伐に立ち上がるという姿勢を示して見せるためであった。サマル王子の迅速な行動によりサマルトリアは“なし崩し的に”反ハーゴンの立場に置かれてしまった。

【サマルトリアの選択肢】
 ゲーム中では当たり前のように、同じロトの血を引くローレシアと共にハーゴン討伐に立ち上がったが、実はムーンブルクがハーゴンに滅ぼされた時、サマルトリアにはハーゴンに恭順するという選択肢があった。
 突拍子も無い話ではない。大国ムーンブルクをも滅ぼす程強大なハーゴン軍に対して、辺境の小国サマルトリアが戦うのは無謀というもの。ハーゴンがムーンブルクのようにサマルトリアの人間を皆殺しにするつもりでなければ、恭順という選択は決してありえない話ではない。
 サマルトリア先住民は元々ムーンブルクに反感を持っていたと仮定するなら、ムーンブルクの仇を取るという大義で彼らは動くだろうか?むしろムーンブルクを滅ぼしたハーゴンに好感すら抱いているかもしれない。
 またハーゴン教団と仇敵関係にあるカミの教会はサマルトリアにも存在する。しかしこの“先進国の宗教”はムーンブルクによる“文明化”と共に入ってきたものと考えられる。そしてサマルトリア地方の文明化の歴史は100年足らずとまだ浅い。『勇者の泉』のように文明化以前の宗教的風習は未だ色濃く残っている。
 つまり反ムーンブルク感情と、カミの教会の価値観にまだ染まり切っていない事から、サマルトリアがハーゴン軍に怖れをなして恭順する可能性は高かったと考えられる。

【サマルトリアとハーゴン教団】
 サマルトリア地方には既にハーゴン教団のアジトがあった。湖の洞窟である。ここには教団の構成員“まじゅつし”がいて、その手先と思われるキングコブラ、彼らにより改造されたラリホーアントがいる。

 で、今回の考察で何が言いたいか?
 湖の洞窟のハーゴン教団とサマルトリアの反王子派は内通していたのではないか。

 後にベラヌールでサマル王子が倒れる事、その時の『ハーゴンの呪いで…』という台詞ともつながる。ハーゴンと反王子派との間で利害の一致する事柄は結構多い。

【サマル王子の寛容】
 サマル王子はローレ王子と合流後、すぐにムーンブルクに向かわず湖の洞窟に向かった。旅立ちの際、ハーゴン教団のアジトと当たりを付けたのは東の“勇者の泉”と西の“湖の洞窟”だったが、勇者の泉は既に調べた結果、シロだった。そうなるとアジトは湖の洞窟しかない。そして潜入して調べてみたら、正にビンゴ!だった。
 この時点で王子たちはアジトを潰さなかった。そして一度サマルトリアに戻り、軍を差し向けて制圧する事を進言した。
 例えサマルトリア内の反王子派・隠れ親ハーゴン派が大多数だったとしても、サマルトリアは軍を動かすしかない。サマルトリアは表向き反ハーゴンの方針を打ち出しているからだ。自領内のハーゴン教団を叩かないわけにいかない。サマルトリアが動かなくても、ローレシア・リリザが動いたに違いない。特にムーンブルクと関係の深いリリザはハーゴン教団に強い憎しみを抱いてる。ハーゴン教団討伐に難色を示せば彼らを敵に回す事になる。
 それにサマルトリア領内のハーゴン教団をローレシア・リリザが討つのは体面が悪い。それ以上にサマルトリアとハーゴン教団の内通の証拠をローレシア・リリザにに掴まれる事になる。そうなればやはりローレシア・サマルトリアを敵に回してしまう。

 ハーゴン軍がムーンブルクから撤退し、その援護が期待出来ない以上、反王子派はローレシア・リリザを敵に回せば破滅するしかない。たとえ、サマルトリア国内で反王子派が優勢だったとしても、サマル王子はムーンブルクの後ろ盾を失った代わりにローレシア・リリザを味方につけたのに対し、反王子派の後ろ盾のハーゴン軍は撤退してしまっている。これでは旗色が悪い。サマルトリアは結局、ローレシア・リリザと協調してハーゴン教団と戦うしかない。
 そして実際ハーゴン軍のアジトを潰したサマルトリアとハーゴン教団の関係は修復不能になってしまった。これは完全に“切れ者”サマル王子の作戦勝ちである。

 ここで、サマル王子はハーゴン教団と通じた反王子派の処罰はしなかった。何も無かった事にした。ルーツはともかくサマルトリアで生まれ育ったサマル王子は同胞を切るのは忍びなかったのだろう。この処置で反王子派はサマル王子に借りを作ってしまった。その多くは大人しくなった。

 しかし、反王子派の中には過激な者もいた。このサマル王子の寛容を屈辱と捉え、憎しみを燃やし、復讐の機会を窺っていた。それが再びハーゴン教団の者と結びつき、ベラヌールでのサマル王子暗殺未遂事件に動いたのではないだろうか。


 

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この記事へのコメント

togege
2012年02月14日 21:14
サマル王子の物語にハーゴン教団を絡ませてみました。サマルトリアとハーゴン教団が絡みを書けば、今後書き進める王子一行とハーゴンの戦いの物語にも厚みが出るかと思います。
elegantix
2012年02月21日 13:14
相変わらず、良いですね。
読みやすい文体も素晴らしい。
続きを楽しみにしています。

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