FE考察~聖王国を蘇らせた男・前編
【カルタス王という英雄】
今回は当ブログでも度々登場する英雄カルタス王について考察する。
カルタス王の功績とは…
①解放軍を組織し、一度は滅んだアカネイア軍を再起させた。
②アカネイアの“つなぎの”王として解放戦争の戦後処理と復興政策に尽力。
カルタス王は滅んだアカネイアを蘇らせた男なのだ。その功績はメディウスを倒したアンリの比では無い。
しかし彼への評価は不当に低い。“ファイアーエムブレム”でのマルスやアンリの功績を大きく取り上げる為に扱いを小さくしているのだろうか?それもあるだろう。だがカルタス王は当のアカネイア人にも過小評価されているのではないか。例えば“カルタス王”という名は彼の固有名詞ではなく、アカネイア名門貴族カルタス家出身の王という意味だ。カルタス王の功績は彼自身の功績として評価されていないといえる。
何故カルタス王の功績はアカネイア人に過小評価されてるのだろうか?
【カルタス王の功績1・解放軍を組織】
アカネイアは一度ドルーアに滅ぼされている。王族はアルテミスを残し皆殺しにされた。そんなアカネイアが短期間で力を盛り返して逆転勝利したのは奇跡というしかない。その奇跡を作りだしたのがカルタス王なのだ
その奇跡のタネとは王家ただ一人の生き残りアルテミスを希望の光として位置付け、竜族に抵抗する人々を集結させり核とし、解放軍として組織したことにある。(参考:アカネイア視点のドルーア戦争・前編)
実際に軍を指揮したオードウィンの方が高く評価されているが(オードウィンの高まり過ぎた名声にカルタス王は嫉妬し、疎んじたとも言われている)、そもそも解放軍の基本的戦略を考えたのはカルタス王で、その戦略に基づいてオードウィンを抜擢したのもカルタス王なので、カルタス王はその点でも評価されるべき。
また解放軍リーダーとしてのカルタス王が実践した組織を作り運営するノウハウは後のアカネイア政治や新王国建国、その他あらゆる人間の組織としての営みに大なり小なり影響を与えている。カルタス王の功績に対する評価の低さの原因の一つは彼のしたことが後の人々の“当たり前”になり過ぎてしまったのもある。
【カルタス王の功績2・戦後処理と復興】
カルタス王による戦後処理も見事だった。(参考:アカネイア視点のドルーア戦争・後編)
先に述べたようにアカネイアは一度滅亡した。国の経営を担う人材もそれを行う設備も財力も多くが失われた。それにも関わらずアカネイアは戦前以上の勢力を取り戻した。
何故戦前以上と言えるか?それはオレルアン、グルニア、アリティア、マケドニア、グラといった新王国をその傘下に入れ宗主国として君臨出来たからだ。大戦によるダメージの大きいアカネイアよりも英雄が建国した新王国が国大陸の盟主となる可能性もあった。特にアンリの名声はそれほど大きかった。それでも最終的にアカネイアが数々の新王国を従えることが出来たのは、単純にアカネイアの方が圧倒的に強かったからだ。
一度は滅びたアカネイアを属国を従えた宗主国の地位にまで高め、それを実現させる力を取り戻したカルタス王の政治手腕はアカネイアの歴史上でも最高かもしれない。(マルスの統一後の統治能力は未知数)
アカネイアの復興途上で新興国を従えるのに巧みな政治工作を駆使した。グルニアの対抗馬としてマケドニアをぶつけたり、アリティアからグラを分離独立させたりなど。アカネイアはこれらの謀略で時を稼いでいるあいだに国力を高め、復興が一通り成った時には周辺国との力関係を確定させてしまった。
周辺国のパワーバランスをコントロールするやり方はハーディンの時代まで、もしかするとマルスの時代以降も受け継がれた。
【カルタスの名】
ところでカルタス王のカルタスという名は彼自身固有の名前ではない。彼の生まれたカルタス家の家名である。先にも述べた通り、カルタス王という名前は固有名詞ではなく、カルタス家出身の王という意味だ。彼自身の名前はファイアーエムブレムでは伝えられていない。ファイアーエムブレムの登場人物の中では異例のことかもしれない。
ファイアーエムブレムにおいて“確実に”固有名詞ではなく家名で呼ばれている人物はもう一人いる。ラング将軍だ。彼は名門貴族ラング家の家名を背負っている。同じくアカネイア名門貴族でもシャロン家のミディアとノア家のジョルジュは家名ではなく固有名詞だと思われる。
ラングとミディア&ジョルジュの違いは何か?おそらく家の当主か否かの違いだろう。となるとカルタス王はカルタス家の当主だったと考えられる。
【王の称号】
ところでカルタス王の“王”の称号にも疑問がある。同時代にアンリやオードウィンら同じ“王”の称号が乱立していること。何故元部下のオードウィンや平民身分のアンリ、解放奴隷のアイオテなどに自分と同じ“王”の称号を与えたのだろうか?
結論から言えば、オードウィンらに王の称号を与えたのは“つなぎの王”カルタスではなく、“正統な元首”アルテミスだということ。
何が言いたいか。カルタス王の称号もまた、アルテミスに与えられたということ。正確にはカルタスの後にアンリ達がカルタス同様に“王”に任命された。
つまり“王”の称号とは正統な元首であるアカネイア王家に各地の統治者として任命された者の称号なのだ。つまりカルタス王はアカネイア地方の統治者として任命されたに過ぎない。形式上はアリティア地方を任されたアンリ王、グルニア地方を任されたオードウィン王などと同格なのかもしれない。要はアカネイア社の雇われ店長のようなもの。
またファイアーエムブレムでは登場していないが、アカネイア王家の正統なる当主(例えばアルテミスの父やニーナの父)には“王”ではなくもっと上位の称号があるのではないか。(ただし皇帝ではない。)
解放戦争の後、英雄たちが各地に新王国を建国したとされているが、実際は最初からアカネイアの属国だった。つまりアカネイアはドルーア戦争の勝利により、旧アカネイアに加えてオレルアン、アリティア、グルニア、マケドニアを含む広大な領土を獲得したと見るべきだ。解放戦争に功績のあった者に“王”の称号を与え、各地の領土経営を任せることで手に余る程広大な領地を統治したのだ。
アカネイア支配層から見れば各新王国はアカネイアの領地の一部に過ぎない。現地の地の者たちが汗水垂らして開拓した土地が自分たちのものにならず、そこから生まれた富がアカネイアに吸い上げられるシステムに少なからず不満を抱いていた。それが後の暗黒戦争の原因になっていく。
【残る謎】
なぜカルタス家はアカネイア王家を乗っ取らずに臣下の地位に落ち付いたのか?(100年後のニーナの時代)について、後編に続く…
今回は当ブログでも度々登場する英雄カルタス王について考察する。
カルタス王の功績とは…
①解放軍を組織し、一度は滅んだアカネイア軍を再起させた。
②アカネイアの“つなぎの”王として解放戦争の戦後処理と復興政策に尽力。
カルタス王は滅んだアカネイアを蘇らせた男なのだ。その功績はメディウスを倒したアンリの比では無い。
しかし彼への評価は不当に低い。“ファイアーエムブレム”でのマルスやアンリの功績を大きく取り上げる為に扱いを小さくしているのだろうか?それもあるだろう。だがカルタス王は当のアカネイア人にも過小評価されているのではないか。例えば“カルタス王”という名は彼の固有名詞ではなく、アカネイア名門貴族カルタス家出身の王という意味だ。カルタス王の功績は彼自身の功績として評価されていないといえる。
何故カルタス王の功績はアカネイア人に過小評価されてるのだろうか?
【カルタス王の功績1・解放軍を組織】
アカネイアは一度ドルーアに滅ぼされている。王族はアルテミスを残し皆殺しにされた。そんなアカネイアが短期間で力を盛り返して逆転勝利したのは奇跡というしかない。その奇跡を作りだしたのがカルタス王なのだ
その奇跡のタネとは王家ただ一人の生き残りアルテミスを希望の光として位置付け、竜族に抵抗する人々を集結させり核とし、解放軍として組織したことにある。(参考:アカネイア視点のドルーア戦争・前編)
実際に軍を指揮したオードウィンの方が高く評価されているが(オードウィンの高まり過ぎた名声にカルタス王は嫉妬し、疎んじたとも言われている)、そもそも解放軍の基本的戦略を考えたのはカルタス王で、その戦略に基づいてオードウィンを抜擢したのもカルタス王なので、カルタス王はその点でも評価されるべき。
また解放軍リーダーとしてのカルタス王が実践した組織を作り運営するノウハウは後のアカネイア政治や新王国建国、その他あらゆる人間の組織としての営みに大なり小なり影響を与えている。カルタス王の功績に対する評価の低さの原因の一つは彼のしたことが後の人々の“当たり前”になり過ぎてしまったのもある。
【カルタス王の功績2・戦後処理と復興】
カルタス王による戦後処理も見事だった。(参考:アカネイア視点のドルーア戦争・後編)
先に述べたようにアカネイアは一度滅亡した。国の経営を担う人材もそれを行う設備も財力も多くが失われた。それにも関わらずアカネイアは戦前以上の勢力を取り戻した。
何故戦前以上と言えるか?それはオレルアン、グルニア、アリティア、マケドニア、グラといった新王国をその傘下に入れ宗主国として君臨出来たからだ。大戦によるダメージの大きいアカネイアよりも英雄が建国した新王国が国大陸の盟主となる可能性もあった。特にアンリの名声はそれほど大きかった。それでも最終的にアカネイアが数々の新王国を従えることが出来たのは、単純にアカネイアの方が圧倒的に強かったからだ。
一度は滅びたアカネイアを属国を従えた宗主国の地位にまで高め、それを実現させる力を取り戻したカルタス王の政治手腕はアカネイアの歴史上でも最高かもしれない。(マルスの統一後の統治能力は未知数)
アカネイアの復興途上で新興国を従えるのに巧みな政治工作を駆使した。グルニアの対抗馬としてマケドニアをぶつけたり、アリティアからグラを分離独立させたりなど。アカネイアはこれらの謀略で時を稼いでいるあいだに国力を高め、復興が一通り成った時には周辺国との力関係を確定させてしまった。
周辺国のパワーバランスをコントロールするやり方はハーディンの時代まで、もしかするとマルスの時代以降も受け継がれた。
【カルタスの名】
ところでカルタス王のカルタスという名は彼自身固有の名前ではない。彼の生まれたカルタス家の家名である。先にも述べた通り、カルタス王という名前は固有名詞ではなく、カルタス家出身の王という意味だ。彼自身の名前はファイアーエムブレムでは伝えられていない。ファイアーエムブレムの登場人物の中では異例のことかもしれない。
ファイアーエムブレムにおいて“確実に”固有名詞ではなく家名で呼ばれている人物はもう一人いる。ラング将軍だ。彼は名門貴族ラング家の家名を背負っている。同じくアカネイア名門貴族でもシャロン家のミディアとノア家のジョルジュは家名ではなく固有名詞だと思われる。
ラングとミディア&ジョルジュの違いは何か?おそらく家の当主か否かの違いだろう。となるとカルタス王はカルタス家の当主だったと考えられる。
【王の称号】
ところでカルタス王の“王”の称号にも疑問がある。同時代にアンリやオードウィンら同じ“王”の称号が乱立していること。何故元部下のオードウィンや平民身分のアンリ、解放奴隷のアイオテなどに自分と同じ“王”の称号を与えたのだろうか?
結論から言えば、オードウィンらに王の称号を与えたのは“つなぎの王”カルタスではなく、“正統な元首”アルテミスだということ。
何が言いたいか。カルタス王の称号もまた、アルテミスに与えられたということ。正確にはカルタスの後にアンリ達がカルタス同様に“王”に任命された。
つまり“王”の称号とは正統な元首であるアカネイア王家に各地の統治者として任命された者の称号なのだ。つまりカルタス王はアカネイア地方の統治者として任命されたに過ぎない。形式上はアリティア地方を任されたアンリ王、グルニア地方を任されたオードウィン王などと同格なのかもしれない。要はアカネイア社の雇われ店長のようなもの。
またファイアーエムブレムでは登場していないが、アカネイア王家の正統なる当主(例えばアルテミスの父やニーナの父)には“王”ではなくもっと上位の称号があるのではないか。(ただし皇帝ではない。)
解放戦争の後、英雄たちが各地に新王国を建国したとされているが、実際は最初からアカネイアの属国だった。つまりアカネイアはドルーア戦争の勝利により、旧アカネイアに加えてオレルアン、アリティア、グルニア、マケドニアを含む広大な領土を獲得したと見るべきだ。解放戦争に功績のあった者に“王”の称号を与え、各地の領土経営を任せることで手に余る程広大な領地を統治したのだ。
アカネイア支配層から見れば各新王国はアカネイアの領地の一部に過ぎない。現地の地の者たちが汗水垂らして開拓した土地が自分たちのものにならず、そこから生まれた富がアカネイアに吸い上げられるシステムに少なからず不満を抱いていた。それが後の暗黒戦争の原因になっていく。
【残る謎】
なぜカルタス家はアカネイア王家を乗っ取らずに臣下の地位に落ち付いたのか?(100年後のニーナの時代)について、後編に続く…
この記事へのコメント