ドラクエⅡ考察~ロト戦記5・オーシャンブルー

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【デルコンダルへ】
 月の紋章を得るためデルコンダルに向かうローレ王子一行だが、まずはデルコンダルの状況と王子たちとの関係についておさらいしておきたい。
 『デルコンダル、そのルーツ』
 結論から言えば、そのルーツは流刑地か海賊のアジトと思われる。王国とは言うものの、その価値観は他の王国と大きく異なる。

 『スライムブルー後編』
 海を隔てているものの隣同士であるローレシアとデルコンダルの関係。スライムブルーと揶揄される弱小国ローレシアを挟んだ、海の強国デルコンダルと陸の強国ムーンブルクとの関係も考察。

【デルコンダルの視点】
 ここデルコンダルではローレ王子たちは注目の的だった。彼らが大灯台をハーゴン軍から奪還した戦いの中心人物であることは海のネットワークで既に伝わっているに違いない。それ以前に陸世界の王族でありながら、古い海の民ルプガナに認められ座礁した船の財宝を引き上げた事も注目に値する。(参考:英雄ローレシア王子の足跡4・第二の旅立ち)ローレ王子たちは世界で最も注目される人物だった。

 ではデルコンダル王の感情はどうか?
 ハッキリ言って面白くなかっただろう。デルコンダル王は荒くれの国デルコンダルを文字通り自らの力で支配し、海の覇者を自認している。そんな彼から見て、海世界で自分より目立つ男の存在は酷く不愉快だったに違いない。長年見下してきたスライムブルーの小僧のくせに生意気だぞと。デルコンダル王の目に映るローレ王子たちは、大灯台での戦果でのぼせ上がり自らを過信している、そんな所だろう。

 調子に乗った小僧どもがデルコンダルに訪れる。そして厚かましくも月の紋章をよこせと要求してきた。デルコンダル王はこの機会をチャンスと捉えた。力関係を分からせるチャンスだと。そして我こそが世界の覇者であると示す」チャンスであると。
 実際、当時のデルコンダルは最強の王国に最も近い位置にいた。大国ムーンブルクは滅び、ラダトームの王はハーゴンに恐れをなして失踪中だからだ。

 デルコンダル王は“デルコンダルの流儀”で王子たちを出迎えることにした。猛獣を戦い力を示せと。
 このパフォーマンスには大きな効果がある。ハーゴン軍からの大灯台奪還という戦果でのぼせ上がった小僧どもに冷や水を浴びせ、デルコンダルの武威を内外に示すという効果である。大国ムーンブルク亡き今、世界の覇者はデルコンダルであると示すデモンストレーションになる。

 確かに力を示すのはデルコンダルの流儀ではあるが、他国の王族に対し奴隷剣闘士まがいの事をさせるのは無礼が過ぎる。しかしデルコンダルにはこれほどの無法を許される力がある。相手は弱小国の小僧と亡国の王女であり、国の武力では圧倒的な差がある。例え誇りを傷つけられたと問題になったとしても軽く蹴散らせる。弱小国は強国の無法に対抗出来ないのだ。

 “力こそ全て”のデルコンダルの闘技場は熱気いや殺気に包まれていた。そんな超アウェーの雰囲気で、猛獣と戦ってみせろと言われて怖気づかぬ者などいない。熱狂する群衆の前で王子たちはデルコンダル王に許しを乞うはずだ。ここで王子たちとの力関係を確定させる事、それがデルコンダル王の目論見だった。
 しかし王子たちはあっさりと承諾し、猛獣キラータイガーを倒してしまった。

 これによりデルコンダル王の状況は一転、王権いや命運の危機に立たされることになった。

【デルコンダル王の危機】
 ビビって猛獣との戦いを回避すると思われた王子たちが戦い、勝利したことはデルコンダル王にとって大きな誤算だった。デルコンダル王は王子たち自身の武力を甘く見ていた。無理もない。見た目はそこまで強そうに見えなかったし、王族という立場上、部下に守られていると考える方が常識的だ。
 王子たちは“勇者”ロトの子孫と吹聴しているので『勇者としての力を示せ』と言えば、彼らは後には引けないはずだ。合法的(?)に王子たちを部下の守りから引き離して戦いの場に引きずり出せたが、猛獣を倒した王子たちの“勇者ロトの子孫という看板”は本物だったわけだ。

 そして力を示したことでデルコンダルの中にも王子たちを支持する者たちが現れた。“力こそ全て”のデルコンダルの価値観に照らし合わせればごく自然な反応だ。デルコンダル王自身にも(王子たち以上の)力を示せと迫られるかもしれない。デルコンダル王の王権の危機だ。デルコンダル王国の歴史上、このような形での政権交代は幾度となくあった。

 デルコンダル王の危機のタネはまだある。それは王子たちにけしかけた猛獣キラータイガーだ。ゲーム中でキラータイガーが出現するのは海底洞窟とロンダルキアへの洞窟。キラータイガーはハーゴン軍の番犬的な存在だと考えられる。デルコンダル王はこの猛獣をどこで手に入れたか?デルコンダルに近い海域の海底洞窟のハーゴン教団の者と取引があった可能性が高い。
 当時の世界情勢において、“王子たちが世界中の有力者たちを反ハーゴンでまとめつつあったこと”“大灯台奪還によりハーゴンに勝てるという気運が高まったこと”“世界中にネットワークを持つ教会のプロパガンダ”これらの要因により、ハーゴンは悪魔に魂を売った人類の敵と認定されていた。
 ハーゴン教団と取引していた可能性の高いデルコンダルの立場はかなり悪い。

 デルコンダル王が自らの命運と名誉を守るには“約束通り”月の紋章を譲り、ローレ王子に協力する立場を表明してみせるしかなかった。
 ローレ王子もこの場は『求める物は月の紋章のみ』だとして穏便に事を収めた。

【もう一つの誤算】
 デルコンダル王は軍事力ならローレシアに勝てると踏んでいたが、それも誤りだ。
 ローレシア本国もムーンブルク滅亡により遠慮無く軍備増強や築城出来るようになっただろうが、他にもローレ王子自身が味方に付けたルプガナ船団、それにローレシア系ベラヌール人を中心にしたベラヌール艦隊がいる。ローレシアの経済力と軍事力はこの短期間で大きく膨れ上がったのだ。
 もっともデルコンダルは海に対しては天然の要塞なので、艦隊で囲んだところで簡単には落ちないだろう。だがローレシアにはもう一つの切り札がある。それはデルコンダルに直接つながる旅の扉だ。これでどれほどの人や物を送り込めるのかは分からないが、たとえごく少数だとしても、内部からの撹乱工作は効果抜群だ。(ムーンブルクでも落城の要因の一つになっている。)
 デルコンダルとローレシアが戦争になれば勝つのはローレシアだろう。

【海の覇者への道】
 ローレ王子はデルコンダルに対し、増強された自国の軍事力を使わず(見せず)デルコンダルの流儀に則って、自らの力を示すことで勝利を得た。デルコンダルと戦争になれば貴重な兵力と財力、そして時間を失い本当の敵であるハーゴンとの戦いに不利になるからという理由だ。特に反ハーゴンで味方している者はデルコンダルとの戦争が長引けば離反の可能性が高い。だがそれだけではない。
 デルコンダルを叩いて遺恨を残すよりは味方に付ける方がずっと良い。そのためにデルコンダルの流儀で勝つのは効果的だ。
 またデルコンダル王がそうしようとしたように、自らの勇者としての力を世界中に示すことは今後の戦い(ハーゴン討伐以後も含む)において大きな布石になる。

 ローレシアがデルコンダルを圧倒した要因はハーゴン討伐の方針を示して見せた迅速な行動力、根回し力がある。(参考:英雄ローレシア王子の足跡1)
 そしてローレシアの強さは遥か遠くのベラヌール等に軍事・経済の拠点を移した視点の確かさとロトの名の元の代々の積み重ねである。(参考:ロト戦記3ローレシアの矜持)

 ローレシアの青は弱小国の象徴のスライムブルーから、海の覇者オーシャンブルーと呼ばれ始めた。

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この記事へのコメント

togege
2012年09月10日 23:04
 夏バテもあり、とても難産でした。デルコンダル王の視点に立ってみたら道が開けました。
 このデルコンダル王、本文ではローレ王子との格の違いを見せつけられていますが、彼自身は武勇と知略を兼ね備えた優れた人物なのではと思います。彼が不運だったのは世界情勢の動きが速過ぎたことと、地理的にその流れから離れていた事でしょうか。
 仮想敵国であり大国のムーンブルクに対抗するために“敵の敵”ハーゴン教団と取引すると一方、さらにその敵の教会ともまあ上手くやっていたのでしょう。
nedvedpavel
2012年12月23日 13:42
他の記事でも依頼をさせて貰いましたが、後のキャラバンハートの世界についての考察をお聞きし、かつ意見交換をしたいのですが、デルコンダルとローレシアの間にあるローファについてはどのような経緯で発生したと考えますか?
togege
2012年12月23日 23:28
>nedvedpavelさん
コメントありがとうございます。
『ハーゴンの世界戦略』の記事の所でも他の方にコメントしていますが、キャラバンハートは未プレイなので、現時点では議論は出来ません。ご期待に沿えず申し訳ありません。
キャラバンハートで描かれる未来は反映されていないという前提で今後の王子たちの冒険を見守っていただければと思います。
nedvedpavel
2012年12月25日 21:08
実は私もキャラバン自体は一昨年興味本位でエミュで少しやっただけで、情報は攻略サイトで入手したもので付け焼刃です。キーファがどこからデルコンダルに漂着したかで、7の世界との繋がりも想像していたのですが、これ以上やるとこのブログを「訪問」ではなく「侵略」する事になりますので封印させて頂く事に致します。
seijyou
2013年05月02日 14:04
一連の考察、読みました。
超面白いですね。

デルコンダルには、お告げを言う神父は居ても、
正式な活動をしている教会はありませんよね。
一方で、(御説に従えば)ハーゴン教団とも
何らかの接触、商取引があって、
(海底の洞窟産?)キラータイガーを輸入している。

カミの教会の勢力と、ハーゴンの勢力の両方と
等距離を保ちつつ、どちらにも隷属せずに独立勢力として
存在することを、デルコンダルは目指していたとは
考えられませんか?
そのためのキーアイテムとして、月の紋章を確保していたとも。
togege
2013年05月02日 14:28
>seijyouさん
おっしゃる通りデルコンダルはハーゴン、教会両者とはバランス良く付き合って自らの独立性や権威を主張していたのだと思います。
ただ海底洞窟やザハンに近くムーンブルクからは遠いこの地には、むしろシドー教が先で、後から教会ではないかと考えています。
デルコンダルとしては通商のメリットと引き換えに教会の宣教師の拠点を受け入れたという…、戦国時代の日本のようなイメージで捉えています。

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