FE考察~軍隊のイメージ・後編

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【おさらい】
 前回『軍隊のイメージ・前編』で取り上げたアカネイア軍では歩兵が中心で中でも重歩兵が花形兵種で、騎兵隊は特殊部隊的な位置付けに過ぎないと述べた。アカネイア文明に準ずるグルニア、アリティア、グラも基本的にはアカネイア式の軍隊組織を踏襲している。
 オレルアンのハーディンは騎馬遊牧民族のホースメンをベースに槍盾鎧で武装したアカネイア式のソシアルナイトを組み込んだ騎兵隊を組織している。これはアカネイアの秩序に照らし合わせれば極めて異例のことだ。
 では竜騎士団を擁するマケドニアはどうか?今回の主題になる。

【マケドニア軍の構成】
 マケドニア軍は空を飛ぶ竜騎士や天馬騎士を主力としている時点で非常に個性的だが、地上軍の構成もまた非常に個性的だ。騎兵が多く、歩兵は極端に少ない。歩兵を基本とするアカネイア世界では異例のことだ。
 言いかえればマケドニア軍は軍の中で、飛竜や天馬、騎馬といった乗り物に騎乗している兵の比率が他国と比べて極端に高いと言える。マケドニアは飛竜や天馬の産地として有名だが、カシミアやオレルアンに匹敵する馬の産地でもあったわけだ。マチスの祖先はマケドニア地方の遊牧民族だったのかもしれない。

【マケドニアの弱み】
 マケドニアの騎兵率(飛竜と天馬を含む)が高いのは馬が多いのと同時に人口が少ないからではないかとも考えられる。マケドニアは元々食料生産性の低い土地なのだろう。そんな土地では多くの人口を養えない。人口が少ないという事はあらゆる産業においての生産性が低いということ。マケドニアの国力はグルニアやアリティアあたりと比べてもかなり低かったのだろう。マケドニアは強力な騎士団を持ちながら、アカネイアに対して隷属せざるを得なかったのと、ドルーア陣営の中で立場が弱かったのはそれが理由なのではないか。
 そしていくら飛竜や馬が多く、他国に比べ低コストであっても維持費は他国と同じようにかかる。特に貧乏なマケドニアにとっては大きな負担だっただろう。グルニアと違って早々に軍を撤退したのは遠征軍を維持出来なくなったからではないか。だが、竜騎士団だけは各地でいいように使われていたのは稼働コストをグルニアやカダインがある程度負担したか、高い報酬を出したか(竜騎士団にはそれほどの価値がある。)したとも考えられる。(参考:マケドニアの真実)

 もう一つマケドニアの弱みは竜騎士、天馬騎士、騎兵が主体なために人員の替えがきかないこと。騎兵の育成には手間暇かかるし、竜騎士や天馬騎士はもっと大変だ。替えの効かない戦力ゆえに遠征においては兵士一人ひとりの負担(疲労もそうだが、鎌倉武士のように戦費が自己負担の可能性もある。)が重過ぎたこと、それもマケドニアの敗因の一つだ。

【天馬騎士・竜騎士の運用】
 天馬騎士はグラのジオル王の台詞からも窺えるように、竜騎士ほど戦力としての評価は高くないようだ。軽装で防御力、特に飛び道具に対して弱いからである。天馬は機動力に優れるものの運搬力では著しく劣るらしく、天馬自身への装備が最低限なのはもちろん、騎乗する天馬騎士も小柄で軽装の女性騎士に限られている。
 弓矢や弩を持たぬ軍隊などまずいないのだから、一撃離脱の遊撃ですらも危険度が高い。ましてや前線で戦うなどとんでもない。にも関わらず、前線の突撃部隊に配属された天馬騎士が少なくないのは前線の深刻な人手不足を補うためだったのだろう。
 それでも天馬騎士には竜騎士よりも有利な点は多い。例えば竜騎士ほど稼働コストがかからず気軽に飛ばせられる利点があった。それに軽装ゆえに竜騎士よりも航続距離や長距離での速度では上回っていたのかもしれない。となると偵察や伝令に向いている。三姉妹のように戦力としてのポテンシャルを引き出した者もいるだろうが、ごく稀な例だろう。

 飛竜は天馬よりも運搬力があり、重装備可能かつ飛竜自体の硬い外皮により戦闘向きだ。ゲーム中の移動力10の数値は瞬発的なスピードに優れていることを示している。騎兵の突撃は馬と騎士と武器の重量とスピードを槍の穂先に乗せる事で凄まじい威力を発揮するが、上空から突撃する竜騎士はさらに高さも威力に上乗せしてくる。その破壊力は凄まじく、大陸中の兵士を震え上がらせたに違いない。特に“決戦マケドニア”や“天空を駆ける騎士”の集団突撃戦法は後世まで語り継がれる伝説となった。
 しかしその運用法は実にマズい。まず竜騎士による突撃自体がマズい。けた外れの攻撃力とそれに伴う威圧効果は最強だが、防御面特に飛び道具に対して非常に弱い。巨大な体躯は弓矢の的でしかない。敵は必ず竜騎士対策として弓兵を配置しているはずだ。無謀というしかない。しかも竜騎士や天馬騎士は補充の利かない非常に貴重な戦力、もっと大事に使うべきだ。
 “決戦マケドニア”では竜騎士の集団突撃とはいうものの成熟し切れていない連携プレイの隙をマルスに破られ、“天空を駆ける騎士”での山岳地帯を不得手とする騎兵隊と同時の突撃は非効率極まりない。入り組んだ狭い地形に大きな騎兵やら天馬騎士やら竜騎士やらが殺到するのだから。これらの無謀な戦いは敗戦、滅亡の決まったマケドニア将兵の最後の抵抗、バンザイアタックかもしれない。
 2部のリュッケ・ルーメル率いる反乱軍の竜騎士もまた無謀な突撃戦法で新兵主体のマルス軍に敗れている。新兵に経験を積ませる良い相手だとマルスにナメられてるとしか思えない。

 以上から確かなのは竜騎士の運用法は未だ確立していないということ。
 その要因は色々考えられる。人が飛竜を乗りこなした歴史がまだ浅い(と言ってもアイオテの時代からなので短くとも約100年)から。あるいはマケドニアは未開の辺境の蛮族に過ぎず、軍隊としての戦術を持たないのかもしれないとか。もしかすると戦場で興奮した飛竜を御し切れていない可能性も考えられる。

 だが竜騎士の運用法が確立されないこの時代に地上軍を主体にしつつ、少数の竜騎士・天馬騎士による遊撃を効果的に用いた指揮官が現れた。後の英雄王マルスである。天空を駆ける騎兵の大軍を使いこなせなかったマケドニア軍はマルス軍により壊滅させられることになる。

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この記事へのコメント

togege
2012年10月11日 22:16
おバカなマケドニア竜騎士団に対し、格の違いを見せつける我らがマルス王子というお話です。
更新の間が空きましたが、書いてたら膨大な量になったので、大幅に削って今の形になりました。
別な角度から見た竜騎士やあえて取り上げなかった魔道士はまた今度ということで…
veiros
2012年10月12日 11:20
2部2章は初見でやると城から飛び出してきたナイトキラールーメルに惨殺されることがありますね。
画面外(歩兵の視界外)から飛来して特効武器で刺すというのは竜騎士が取れる戦術の一つかなとおもったりします。

あと天馬騎士は魔道士対策という役目もありますが、そもそもカダインが味方という時点で(ry
アカネイアにはシスターや司祭がいても魔道士はいなさそうですね。
togege
2012年10月12日 19:04
>veirosさん
竜騎士は砦や山の上などに潜んで待ち伏せ、ターゲットが間合いに入ったら突撃という戦法もよくやってますね。見えない所から突然降って来るので、効果絶大でやられる方はパニックになるでしょうね。竜騎士の数の少ない第二部では特にその戦法を多用してますね。ただ地上軍が弱く、連係も上手くなかったので、ただの単発のバンザイアタックに終わってしまいましたね。
ああああ
2013年08月18日 00:57
竜騎士や天馬騎士などの航空兵力の運用としては、敵から攻撃されない上空からの攻撃が有効ですよね。
それこそ上空で弓とか撃てば、地上からは届かない位置で弓や手やりを撃てたはず。
馬鹿正直に相手の剣や槍の届く地上まで降りて戦ったのはなぜ?
(FE考察はここまでしか読んでないので、考察されていたらゴメンなさい)
togege
2013年09月01日 09:50
>ああああさん
 鋭いツッコミありがとうございます。ブログ一本書けそうなネタですね。自分なりにまとめてみます。
maki
2014年10月28日 16:39
ゲームでは、相手の布陣から移動から全て見えるようになっているので、単に自殺行為にしかならないし、攻撃した後その場で移動終了してしまう仕様があってこんな感じになってしまった。
現実には、森林からの不意打ちや山頂からの突撃など迎撃もままならない形で側面を突かれることもままあるだろうし、そもそも一撃離脱に徹していたら反撃すら不可能だったかもしれない。
そのあたりが、色々不都合を起こしていることもあって、次回作での再移動につながったのかもしれないですし、後に索敵モードという形で結実したのかもしれません。最もあれはあれで問題があったように思われますが。
そもそもターン制ゲームの限界といってしまえばそれまでのような気もします。

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