FE考察~竜騎士・天馬騎士の謎

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【素朴な疑問】
 軍隊のイメージ・後編の読者コメントにおいて「敵の手の届かない上空から飛び道具で攻撃せずに、馬鹿正直に相手の剣や槍の届く地上まで降りて戦ったのはなぜ?」という至極真っ当な質問があり、今回はそれについて考察する。

【竜騎士・天馬騎士の戦術】
 敵の手の届かない上空から飛び道具で攻撃するのは、騎士としては卑怯な禁じ手だろうなとは思うが、弱小国マケドニアの事情からすれば、自分たちが滅びてまで守るような掟ではないと考えられる。
 飛竜や天馬による戦術は運用法の拙さから言っても歴史が浅く未成熟なので、上空からの飛び道具戦法を思いつく発想が無かったことも考えられる。竜騎士・天馬騎士本人としては飛竜も天馬も移動用の乗り物でしかなく、戦闘において空を飛べるという利点を活かすという発想どころか、空を飛べるのは有利という事すら気付かなかった。それは決して愚かだからではない。本来革新的な戦術を発明するのは天才の為すことで、後世の者はその戦術を誰もが思いつく当然の物と錯覚するものだ。 もしかすると竜騎士・天馬騎士が手槍を投げることは暗黒戦争当時の実戦の中で編み出された画期的な新戦術だったのかもしれない。

【わざわざ着地】
 あるいは「やりたくても出来ない」事情があったのかもしれない。
 竜騎士・天馬騎士がわざわざ敵の近くに下りてチャンバラをせざるをえない理由は何か?ということだ。
 ここで仮説を立てる。
 『飛竜や天馬は本当は高く、長くは飛べないのではないか。』
 根拠はある。ゲームでの戦闘シーンを見ると
 ①最初は地上にいて
 ②飛んで敵に接近
 ③槍で突っつきつつ着地
 ④飛んで離れる
 ⑤元の場所に“着地”
 という手順を踏む。攻撃をくらう時も地上にいる。本当に空中にいるのはほんの一瞬で、高さもたかが知れている。
 では一気に飛んでいるように見えるマップ上の移動はどうなっているのだろうか?
 1マス毎に飛んで着地してを繰り返しているのだろうか?ピョンピョン跳ねているような感じだろうか?敵を跳び越したり地形効果を無視出来る程度には高く飛べてはいるが。

【天馬と飛竜の生態を考察】
 天馬は飛ぶ必要の無い場所では馬として四本の足で走っているのではないか。仮に馬の体が見た目よりも軽かったとしても、やはり飛ぶのには不向きな体型だ。逆に飛行能力が高いなら馬である必要は無い。実際の戦場では基本的に馬として走り、段差や障害物がある時や外敵から逃げる時など特別な場面では翼を使うように進化した動物なのだ。

 飛竜はその重く大きな体では高い飛行能力は望めないだろう。また天馬と違い、歩いたり走ったりするのには酷く不向きな足に見えるが、蹴る、跳ぶ、掴むのには向いていそうだ。強靭な足で跳躍し翼を広げて滑空するようなイメージか。ムササビやトビトカゲのように。ただゲーム中のモーションを見ると、羽ばたきによる上昇も可能なので、跳躍と羽ばたきで高さを稼いで滑空距離を伸ばすと考えられる。
 飛竜が肉食動物であれば、遠くから一気に滑空で接近して強靭な後脚の爪や牙で捕まえる様子が想像出来る。ただし狩りの成功率は低そうなので、むしろ他の飛竜や大型肉食獣が捕えた獲物を狙う事も多いのではないか。その強靭な体躯や硬い鱗は狩りよりも戦闘向きである。
 天馬よりは飛行(というより滑空)距離は長そうだが、10マス分の距離はさすがに無理なので何度か着地を挟んでいると思われる。乗り物としては酷く不便ではあるが、険しい山の多いマケドニアでは徒歩や馬よりも便利だったのかもしれない。それ以上に騎馬民族や集落の人間を襲うのに向いている。

【高山の騎士】
 では飛行能力の低い竜騎士・天馬騎士は飛行ユニットのみが入れる高山地形はどのように移動しているのだろうか。短距離であれば翼による飛行も可能なので、険しい山の斜面で足がかりになる場所を上手く見つけて着地を挟みながら跳躍と飛行を駆使して移動しているのではないか。人や馬では立ち入れない険しい山岳地帯を通って素早く接近・離脱出来るのは竜騎士・天馬騎士の強みといえる。

【水面の騎士】
 では海や川、湖はどうか?陸上のように跳躍に使える足場は無い。実は船があって足場を確保しているのか?いくらなんでも効率が悪い。そうなると天馬や飛竜は泳ぎが得意という意外な説が生まれる。
 問題は足場の無い水面からどのように飛び立つのかということ。水鳥の水面からの飛び立ち方を参考にしてみたが、飛び立ち方は種類によって異なる。速く強い羽ばたきで一気に上昇というのは大きな体の天馬、飛竜では厳しい。ハクチョウのように水を蹴って水面を助走してから飛び立つ説の方が可能性は高い。飛竜の体型は鳥に似ていて、後ろ脚の爪の間に水かきが存在しているのかもしれない。少し意外過ぎるか…天馬の足はもっと水面から飛び立つのに不向きだ。そうなると翼による羽ばたきで力任せに飛び立っている説もアリだろうか。
 また飛竜や天馬はアメンボのように水面の上に立てるという説も考えられる。SFC版の戦闘シーンを見ると水の上に立っているように見える。

【なぜ飛び道具を使わない?】
 ここまで飛竜や天馬の飛行能力の低さについて述べてきたが、これだけでは“なぜ飛び道具を使わないか?”の説明にはなっていない。厳しい環境と政治状況に生きるマケドニアが“卑怯だから”の理由で飛び道具を使わないのは不自然だ。
 まず飛竜や天馬に乗る山岳民族に弓の技術が伝わっていないという説も考えにくい。マケドニアには古くから草原地帯の騎馬民族のホースメンが存在しているので、飛竜や天馬からの射撃という発想が生まれないわけがない。
 ではなぜそれが出来ないのか?馬に出来て飛竜や天馬に出来ない理由は何か?

 もしかしたらゲーム中の敵軍竜騎士・天馬騎士が弓を構えるマルス軍に対して無謀な特攻戦法を仕掛けてくるのと関係があるのかもしれない。弓に弱いと分かってるのに突っ込むのはマケドニア竜騎士団が馬鹿だからなのか?分かってても出来ない理由があるのかもしれない。
 問題は乗り手ではなく、飛竜や天馬の方にあるのかもしれない。それは本来の獣としての気性ではないか。例えば、馬に似たシマウマはその気性ゆえに馬のように家畜として飼い馴らす事は出来なかった。
 飛竜や天馬はその背に人間を乗せて運ぶことは受け入れたが、それでもどうしようも無い獣としての特性はある。それは『敵が近付くといきり立って突撃してしまうこと』だと考えられる。竜騎士・天馬騎士は飛竜や天馬が襲いかかった敵に槍を突き刺してるに過ぎないのではないか。
 飛行能力の低い飛竜・天馬とはいえ、敵への接近速度は地上の馬よりも遥かに速い。その背の上で弓を構え、狙いをつけて命中させるのは神技に等しい。また、FC版とSFC版の公式イラストを見ると飛竜や天馬には鞍も鐙もつけていない。(DS版は鞍はつけてるが、鐙は確認出来ず)落下の危険の大きい飛竜・天馬が鞍や鐙をつけないのも獣としての気性によるものだろうが、そんな状態では乗り手は振り落とされないのに精いっぱいに違いない。
 つまり人間は飛竜や天馬を完全に御することは出来ないということだ。

【白騎士団の特殊性】
 弓を構えたマルス軍に無謀な突撃を仕掛ける敵軍の竜騎士・天馬騎士ではあるが例外も存在する。それはミネルバ率いる白騎士団だ。レフカンディでは敵の目の前で敵前逃亡をした。この時白騎士団以外の竜騎士・天馬騎士は獣の本能による突撃を止められず自滅した。またディール砦でミネルバは他の竜騎士とは違い敵に突撃せずに自らの飛竜を完全に御してみせた。こんなことは誰にも出来る事ではなく、むしろ竜騎士・天馬騎士の常識を外れた技術である。ミシェイルですらFC版とSFC版では部下とともに無謀な突撃をしているし、ルーメル将軍も本城を空けて突撃をしてしまっている。
 白騎士団の飛竜・天馬を完全に御する特殊性(シーダも持っている)はマルス軍に寝返ってからその真価を発揮することになる。

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この記事へのコメント

聖王
2013年09月08日 20:40
新考察待ってました!今回も興味深い内容でした
FEファン
2013年11月30日 14:35
FEの考察、とても面白かったです!
政治的な背景を考えていくと、それだけで物語が生まれてきますね。
とくにミシェイルとミネルバの兄弟は好きなキャラなので
二人の背景に深みが出るのが嬉しかったです。
togege
2013年11月30日 22:05
>FEファンさん
コメントありがとうございます。
ミネルバ&ミシェイルは反応が怖くなるほど、辛い評価を下していましたが、そう言っていただけるとホッとします。
cvhiryuu
2014年01月27日 12:48
初めまして。
考察を拝読させて頂きましたが、大変興味深い内容でした。

私はこれに加えてマケドニアとタリスの戦闘教程の違いも無視できないと思います。

マケドニア軍は山国の山地戦部隊、即ち山道をのそのそ進軍して来る敵軍の側面に高機動部隊を迂回させて、多方面から一斉突撃をかける戦術が有効です。ペガサスナイトやドラゴンナイト何よりも突撃速度が重視され、引き際というのは二の次なのだと考えました。

一方のタリス軍は島国の揚陸戦部隊です。ペガサスナイトは現実の揚陸艦搭載機のように、本隊の上陸予定地点の偵察が主任務であると想像出来ます。即ち、敵に遭遇したら逃げ帰って本隊に危険を警告することが最重要任務ですから、突撃に逸る天馬を御して安全な場所に逃げ延びる引き際の良さというのは優先順位が高い訓練なのではないのでしょうか?
togege
2014年01月27日 19:47
>cvhiryuuさん
コメントありがとうございます。
なるほど、シーダの天馬をタリス軍の天馬騎士団と捉える見方も出来ますね。山地出身と島国出身とで戦い方が異なるという視点はとても面白いです。今後の参考になりそうです。
私はシーダのペガサスは遥か西方の珍しい生き物として父王に贈られたものではないかとイメージしていました。なので、タリスの天馬騎士隊という発想すらありませんでした。
昔のゲームにはプレイする人数分の世界のイメージがあると考えれば、奥が深く面白いですね。
cvhiryuu
2014年01月28日 21:39
御返答有難うございました。

シーダと同じく天馬や飛竜の突撃精神を抑えられるパオラやカチュアがミネルバに付いていた点はミシェイルの深謀(?)の結果ではないでしょうか?

妹を戦死させたくないし、飾りとはいえ大将が死ぬと士気に関る→しかし、ミネルバは協調性がない上に単独突撃をやりかねない→危地に加勢を呼んでくる伝令が必要だ→引き際と逃げ足に定評があるパオラとカチュアなら適任だ♪

実際に英雄戦争序盤でカチュアがマルスに加勢を頼みに行く事に成功している点を見ると「ミネルバの身を守る」点では成功していますが、ミシェイルが一番大事にしたマケドニアはミネルバが先導したマルス軍に蹂躙され、本人は半殺し、挙句の果てにミネルバは戦後復興に失敗して国家破綻…。

こう考えると、ミシェイルの善意と思惑は完全に裏目に出ていますね。
togege
2014年01月29日 00:45

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