FE考察~タリスの乱

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【マルスの旅立ち】
 『ファイアーエムブレム暗黒竜と光の剣』の第1章にしてマルスの初陣、そして常勝将軍としての快進撃の始まりでもあるタリスの戦い。だが、いくつかの疑問点がある。
 ①城に残っていると思われる国王を人質にした形跡が無いのは何故か?
 ②タリス島全土を海賊が暴れ回っているが、タリス軍は何をしているのか?


 ①については最初から敵将が城門を固めている他の章と違い、この章だけは1ターン目に城門前にガザックらが移動して占領する形になっている。そうなると完全に城を制圧出来たわけでなく城門を囲んでいる状態だとも考えられる。それでも王がガザックの手に落ちるのは時間の問題なので、そうなる前にシーダは単身脱出しマルスに救援を求めるわけだ。
 だが②について、城を囲まれた時点でタリスは詰み状態なのにタリス軍は何をしているんだという話だ。きっと城内では王を守るために奮闘はしているはずだが、城の外では村まで破壊されている。海賊に対して無力過ぎやしないかと。
 ここで一つ仮説を立ててみる。
 『ガザックたちこそがタリス正規軍である。』
 積極的に攻め込む者、待ち伏せをする者、城を守る者、海からの奇襲を狙う者…、彼らは統制の取れた動きでマルスに襲い掛かる。そう、海賊と呼ぶには洗練され過ぎた動きなのだ。タリス軍の抵抗が無いのは当然だ。ガザックたちこそがタリス軍なのだから。この戦いはガザックのモスティン王に対するクーデターなのだ。

 なぜガザックは反乱を起こしたのか?
 それはマルス王子をシーダの婿として迎え、タリスを継がせようという方針への反発だったのではないか。
 ガザックらが村を襲ったのは、村が明らかにマルスに味方する立場だからだ。マルスのための軍資金まで用立てている。また武器屋では平均的タリス人が使わない剣や槍を売っている。もちろんそこはマルスのための武器屋だ。タリス東では先進国アリティア式の新兵の訓練も行われていたのではないか。もっとも遠征には連れて行かなかったようだが…

 マルスにとってもタリスを継ぐのは現実的な選択肢といえた。祖国アリティアは遠過ぎるし、臣民の支持も失った。祖国奪還の夢は絶望的ですらあったからだ。(参考:亡国の王子
 シーダは野心的な父王から文化的先進国の社交界でも見劣りせず、高貴な男たちの心を虜に出来るようなレディとして育てた。有益な政略結婚を勝ち取る為だ。シーダは辺境の島タリスにあって、西方の珍しい生き物ペガサスを与えられるなど異国の文化に触れる機会が多く、島の外の国に思いを馳せて育ってきた。そんなシーダはアリティアの王子にすっかり入れ上げてしまった。

 モスティン王はグルニアのロレンス将軍との太いパイプを持っており、いつでもドルーア側にマルスを売る事は出来たにも関わらず、マルスを守り続けた。王は後の英雄王たるマルスの器に惚れ込んでいて、愛娘との婚姻にも積極的だった。
 水面下ではグルニアからロレンスを通じてマルスを差し出すように迫られていたのかもしれない。遠過ぎて武力に訴えられることは無かっただろうが、恩賞をチラつかせることぐらいはあっただろう。
 モスティン王は外圧にも恩賞にも動じなかったが、タリスの他の有力者はそうではなかった。彼らの目にはモスティン王とシーダの父子は異国の王子に入れ上げてタリスをその異国の王子に乗っ取らせようとしているように映っていた。生粋のタリスっ子である彼らには到底納得のいく話ではなかった。そこにマルスの首と引き替えの恩賞という話が舞い込めば、彼らの行動は決まっている。
 ガザックらタリスの有力者たちはクーデターを実行に移した。

【モスティンの決心】
 大陸の戦闘術を学んだアリティア騎士団は辺境の海軍の予想よりも遥かに強く、ガザックら反乱軍は脆くも敗れてしまった。戦いには勝ったものの、タリス軍の大部分がガザックの反乱に加担した時点でモスティンのタリス王としての命運は風前の灯だった。
 マルスのアリティア騎士団がいれば今後起こる反乱も平定出来るだろう。しかし他国の兵に守られた玉座になど価値はあるのだろうか。自分と同じタリスに生まれ育ったはずの民に見放されてまで何を守るというのだろう。
 そして最初から分かっていた。マルスの本心は祖国奪還にあると。自分への恩義に縛られて、その英雄としての器を小さな島国に押し込めるべきではないと。
 モスティン王は決心した。
 マルスに愛娘シーダを託し、ニーナ王女が旗揚げしているオレルアンへと送りだした。自身はタリスに生まれた者として、この地で死ぬ覚悟もあった。

 以下、余談…

【サジマジバーツ】
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 オグマの配下としてマルス軍に加わった彼らだが、タリスの木こりという出自には疑問がある。なぜなら彼らの兵種が海賊ではなく戦士だからだ。海の民であるタリス出身なら海賊の方が相応しくはないか。戦士はサムスーフ山地やオレルアンによく現れる山の民と考えられる。斧を武器にしているので海賊でも木こりは出来るが、戦士は海を移動出来ない。
 ではサジマジバーツは何者なのか?マルスはサムスーフ山地を通って、オレルアンに向かうにあたり、現地に詳しい案内役として彼らを雇ったのではないか。
 後日談で「タリスのきこり」と明言されているサジとマジについてはこの説を推すのは気が引けるが、同じく後日談でアカネイア軍に参加したとされるバーツについては元々アカネイアのサムスーフ地方の出身の傭兵だったという可能性もあるのではないか。非戦闘員の木こりとされるサジ&マジよりも戦闘力の高いバーツは彼らとは毛色(?)が違う。

 マルスはモスティン王を守るためにタリス兵は連れて行けなかった。おそらくシーダ王女の侍女や護衛に必要な最低限の人数しか連れて行かなかったと思われる。シーダの護衛としては武骨過ぎるし、彼らの仕事は最前線だ。そういう事情も考えると
、彼らがタリス出身というのは疑問に感じてしまう。

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この記事へのコメント

togege
2014年02月15日 22:46
久しぶりの更新です。
何度も書き直す度にモスティン王の人物像は二転三転しましたが、それだけに思い入れのある人物になりました。
ボツネタの一つにはモスティン王はガザックに命じてマルスを襲わせ、マルスはシーダを人質にして逃げた、というのもあります。
cvhiryuu
2014年02月15日 23:30

考察ご苦労様でした。

タリス出身の樵というのはそう無理な設定ではないと思います。

本文考察にあるようにタリスは「海の民」ですが、当時は木造船の世界。当然、材木の伐採や植林に携わる樵は国の必須業務ですし、船大工に代表される木材加工業者も多いと思われます。実際に良質の木材を産出したレバノンは古代の一大海洋勢力であるフェニキア文明を生み出しています。

タリスの中でも、樵や木工業者のような「技術屋」的な一派がアリティアからの先進文化・技術と国王を支持し、昔ながらの「現場担当」の比率が高かった別派閥が反発したのでは無いでしょうか?
cvhiryuu
2014年02月16日 00:16
襲来した海賊がタリス海軍と云うアイディアは卓抜だと思いました。「何故ガルダの海賊と互角の制海権争いをしていたタリス軍が一気に城に押し込まれたか?」の疑問が解けました。当時防衛を担当していたタリス軍の主力が買収されたと考えれば、確かに納得できます。

これ以降マルスの海上輸送が常に成功し続けたのも、この時点でタリス国内の反国王派の炙り出しとライバルであり反乱のバックでもあったガルダ海賊潰しに成功した成果ですね。
lime
2014年02月16日 00:28
考察お疲れさまです。

バーツは暗黒戦争後、アカネイア軍に参加したけれど、直ぐに脱退。
海賊に転身した疑惑も生まれたかと思いきや、(以下・新紋章での動向)英雄戦争時には何故かグルニアを放浪しており、オグマら旧知の仲間の説得でマルス軍に再加入。
彼自身の人となりは戦いを好まぬ穏やかな性格のようですが、タリスの義勇兵からアカネイア軍を経て、軍を脱退後は海賊になって無法地帯のグルニアをうろうろしていた所を見ると、結構な変わり者である事が伺えます。

無法地帯のグルニアで民衆の暮らしを助けるべく、用心棒のボランティアでもするつもりだったのだろうか。
しかし、グルニアの問題が自身の考えている以上に複雑な物である現実を知り、色々と嫌気が差してぶらぶらしている所で旧知の仲間と再会。
新紋章でのマイユニットとの会話で語られる転身しまくりの経緯や、英雄戦争後もタリスには戻らず行方を眩ましたりと、彼の足跡を辿ってみるととことん『変な奴』のイメージが付きまといます。

オグマへの恩義に応る義理堅さ、争いを好まぬ穏やかな性格、マイユニットとの会話での気さくな人柄からして、『良い人』には違いないのだろうが…。
togege
2014年02月16日 00:33
>cvhiryuuさん
コメントありがとうございます。
サジマジについては基本的にタリスの樵で問題無いのですが、そうでない可能性があっても面白いなと思って取り上げました。ただタリスの樵で、本来兵士ではない彼らがマルスについて行く動機を考えると、やっぱり「タリスの樵」では食っていけないのかなと思います。
togege
2014年02月16日 00:43
>limeさん
コメントありがとうございます。
バーツは昔のイメージでは「気がつけば血に飢えた野獣」だったんですがね。新紋章での描写からすると、掴み所の無い変な奴で、本人とは関係の無い所で色々と誤解をされやすい人物なんでしょう。例えば同窓会でヤクザになったとか噂されるタイプとか。
lime
2014年02月16日 00:56
バーツもそうですが、サジマジ達は暗黒戦争時はオグマに入れ込んでいた印象が強いですね。
(死に科白も含めて…)

考えてみると、元・奴隷剣闘士からタリス軍隊長までのし上がったオグマと木こりトリオの接点も気になります。

新紋章でのサジマジは『シーダのフィアンセであるマルスの力になる』という志の元、タリスから遠く離れたマケドニアまでわざわざ来てくれました。
彼らをマルスの元に送り込んだ(かもしれない)タリス王の思惑を推察したくなる程のダイナミックな行動です。

バーツ程では無いにせよ、サジとマジもなかなかの変わり者なのかも知れません。
cvhiryuu
2014年02月16日 00:56
ご返答有難うございました。

考えてみれば、大陸の大半がドルーア系勢力に抑えられていますから、タリスは自由な商売が出来ない→景気悪化の流れになっているのですね。

モスティン王派は「ドルーア系勢力が弱みを見せるまでアリティア系の技術を導入して潜在国力を蓄える」、反対派は「当座の生活が圧迫されて困る」というのが行動基準だと思います。

戦後にサジ、マジが樵に戻ったのも、商業の自由化→景気回復→造船の需要増大と考えれば納得がいきました。
togege
2014年02月16日 10:27
>limeさん
オグマに関しては半端な物は書けないので、今回はスルーしました。タリスにとっての重要性もよく分らないですし…
オグマを書ければ、斧トリオの人物像もおのずと浮き彫りになると思います。

>cvhiryuuさん
タリス王ら改革派とガザックら反対派の思惑とか、タリスの産業とか、もっと詳しく書こうかとも思いましたが、いつまでたっても更新出来ないのでかなり削りました。
「他大陸と貿易立国説」も考えましたが、市街地や港の描写がショボさなどの理由でボツにしました。
結局は文化的、技術的、政治的な後進国という定説に近いイメージに落ち着きました。先進国にかぶれる王(理想)とイメージを共有出来ないタリス国民(現実)のギャップという物語はもっと掘り下げられそうではあります。
あらた
2014年02月21日 22:38
個人的にはサジ・マジ・バーツは工兵のような扱われ方をしていたのではと思っています。
中世風の世界観だと陣の設営や攻城兵器の修繕とか木材を使用する場面はかなり多いはずで少なくともタリスに逃れたアリティア騎士団はそういった面々は引き連れていなかったのではないかと思います。

オグマは奴隷剣闘士でしたが、試合のない日は訓練だけでなく木材の伐採とかの土方作業もやっていて奴隷のリーダ的存在となっており、その経験を買われて隊長になっていたといった感じでしょうか。


togege
2014年02月23日 18:41
>あらたさん
コメントありがとうございます。
斧トリオは工兵だった。なるほど。しっくり来る説です。土方のリーダーとしてのオグマ隊長も想像するとカッコ良いですね。古代ローマの軍団兵も戦闘の無い時は土方やってましたしね。
ロギー
2014年09月05日 20:41
マルスはガザックの反乱がなかったらタリス王になったでしょうね。
それに最終的にシーダを正妻に選んだ所をあるとタリス王国に対してかなり強い思い入れはあったはずです。
父親との確執やアカネイアマンセーの祖国やアカネイアの腐れぶりをみていたマルスにはアリティア王国はろくな思い出はなくタリスはそんなマルスの心を癒したんだと思います。
そんな気がしてならないんですよね。
togege
2014年09月05日 22:41
>ロギーさん
コメントありがとうございます。
祖国アリティアから遠く離れたタリスに落ち延びたマルスにとって、シーダと結婚してタリスに落ち着くのは魅力的な選択肢だったかもしれません。
ただ、ガザックら現地豪族だけでなく、アリティアの家臣たちにとっても許し難い、安易な道かもしれません。
もしかしたらアリティア騎士たちは当初シーダの事を良く思ってなかったかもしれません。
以前の考察でも述べたように、辺境の姫シーダとの結婚はマルスの強い意志の表れかもしれません。

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