FE考察~グルニア最後の王・後編

画像


【追い込まれたグルニア】
 前回『グルニア最後の王・前編』ではパレスを奪い返された後のグルニアは①ルイ王らドルーアとの同盟の堅持を図る一派②ロレンスらアカネイアとの和睦の道を模索する一派③カミュらドルーア、アカネイアに膝を屈するのを良しとしない独立派、以上三派に分かれて足並みが揃わない事を述べた。

 ①の連合派は国王の方針の元、連合の主軸としてアカネイアを責め滅ぼしている。特にカミュ率いる黒騎士団の活躍はめざましかった。そのカミュがニーナを逃がしたことでドルーアとの関係が悪くなったが、カミュを処刑せず残している事からも関係修復の可能性は残されている。ドルーアにとってもグルニア、特に最強の将軍であるカミュは手放し難いからだ。
 しかし勢いを盛り返したアカネイアとの戦いで有力な騎士を多数失い、勢いを無くしている。またルイ王の崩御によって連合派はグルニアから追いやられアリティアに取り残されてしまった。ドルーア城内のパラディンやジェネラル、シューターはグルニアの連合派の生き残りだと考えられる。

【和平交渉】
 ルイ王崩御後の混乱したグルニア国内の主導権を握ったのは③の独立派であった。グルニアは何故アカネイアもドルーアも敵に回す無謀な選択をしたのか?
 いや、何故和平への道を選ばなかったのか?

 むしろ“選べなかった”のかもしれない。
 アカネイアから奪い取ったグラディウスを手に最後まで抵抗したカミュだが、当初は和平への道を模索していたのではないか。グラでトロンを手土産に現れた目的はアカネイアとの和平交渉が目的だったのではないか。
 カミュはニーナを助命したという恩義とニーナとの個人的関係をもって、アカネイアとの和平交渉の使者になったことは自然な流れであろう。

 しかし、交渉の内容は“ファイアーエムブレム”では物語のいや勝者マルスの都合で巧妙に隠されているが、グラでの和平交渉は成立せず、カミュはアカネイアへの徹底抗戦を選んだ。それが結果だ。

 隠された和平交渉の中身は何だったのか?

 想像だがカミュはドルーアからの離反を条件にグルニアの安堵を提案したと思われる。温存された形になった黒騎士団との戦いを避けるのはアカネイア側にとってメリットであるとも。アカネイアは元は滅んだ国。勢いはあっても国力的にはグルニア、マケドニア、カダイン、ドルーアと同時に戦い続けるのは厳しい。
 しかし交渉の窓口に立ったマルスはこの申し出を蹴った。相手が黒騎士団であっても勝算はあったのかもしれない。これまでの戦いや情報からドルーア、マケドニアからの救援は無いと踏んでいた可能性も高い。また、アカネイアにとって祖国を滅ぼしたグルニアとの和平は最初から選択肢に無かったのかもしれない。(参考:憎悪の暗黒戦争)
 隠された交渉の中身はカミュにとって屈辱的で絶望的だったものだと推測される。失意の中祖国に戻ったカミュはグルニアの意地と誇りを守るための最後の戦いの準備を始めた。

【グルニア最後の王】
 ルイ王を亡くし、和平への道をも絶たれたグルニアは英雄カミュの下、最後の戦いに向けて団結した。カミュはこの時実質的な“グルニア王”だった。実際に王を名乗ったとしても、ミシェイル同様、宗主国アカネイアの承認を得ない王は正当な王と認められないが…
 一時的にであってもグルニアを最強の座に押し上げ、アカネイアからの独立あるいは強いグルニアの象徴であった黒騎士カミュは、紛れも無くグルニアの最後の王だった。

【黒騎士カミュの伝説】
 絶頂から絶望に転落したカミュだが、後の勝者の物語“ファイアーエムブレム”での扱いは破格といえるほど良い。憎き仇敵のはずなのにだ。偉大な英雄への敬意からだろうか?理不尽な滅びを受け入れた敗者への鎮魂からであろうか?
 グルニアの戦いでカミュは歴史の表舞台から退場をしたが、カミュの物語の終焉を惜しむものは多く、後に様々な形で伝説は語り継がれた。



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 16

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

togege
2016年01月01日 20:29
長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
仕事の忙しさと自宅PCの不調でなかなか作業が進みませんでした。

読者さんからのコメントや気持ち玉は続いていて、再開へのモチベーションは決して萎えたりはしませんでした。今回ようやく形に出来てホッとしています。
書きたいネタは貯まっていますが、次回もカミュの話の予定です。
アリティア、カダイン、マケドニア、英雄戦争編…、書きたいです。
名無し
2016年01月03日 15:48
カミュが絶望に転落したのはやっぱりニーナを愛してしまったからでしょうか(ニーナを逃がしたせいで負けた。)だから、カミュよりジークとして生きるほうを選んだけど、このままだとニーナや自分のせいで大変なことになったグルニアに悪いのでシリウスとして英雄戦争に参加したのかな。(ニーナはアカネイアのこととかでいろいろ重くなりすぎたし。グルニアも生き残りの双子も死にかけだったらしく、最後の戦いでマルス達に勝ってもドルーア帝国に滅ぼされると思うけど。)
cvhiryuu
2016年01月11日 15:19
明けましておめでとう御座います。

久し振りの考察、楽しませて頂きました。

グラでのカミュの接触が講和、最低でも停戦目的との御意見興味深い物です。

では、何故交渉が決裂したのか?
実際に結ばれた当初のグルニアの降伏条件を考えると・・・
・最後の王族のユベロ、ユミナの身の安全は保障する
・降伏派のリーダーであるロレンスが元首代行として行政を行う
・アカネイアを盟主国と認める
敗戦国に対する要求としては寛大な処置です。

 カミュがこの程度の条件を拒絶する、とは思えません。

次にグルニア決戦直前時点とハーディンが戦後処理を行った時点の違いを挙げると
1.マケドニアとドルーア本国が健在
2.以降の最終決戦までに生じた被害が起こっていない
3.アカネイア側は戦争での勝利宣言を布告していない

 1.の点に関しては、マケドニア若しくはドルーア戦の最中にグルニア軍が寝返って攻撃を仕掛けてくる、という危惧がどうしても生じてしまいます。
カミュ本人が本気で和平に応じる心算でも、彼の立場では、空腹のところに毒を一服、程度であっさり主戦派に主導権を奪われかねません。
何しろ、カミュは戦争に強い、大貴族で領内の人望が厚いというだけで、他のグルニアの有力者と比べて相対的に強くても、権威は自領外では殆ど有りません。
元首代行に近くてもグルニア全土に「正式な権威で停戦を厳命」等出来る立場では無いのです。
 そこの処を危惧したマルスなりハーディンなりが、和平を拒否、若しくはグルニアの有力者全員から人質を出す等の強硬な条件を出したとしても不思議はありません。
cvhiryuu
2016年01月11日 15:19

2.の点に関してはマルスを中心とした中核部隊の将校に死人が出ていない点は明らかですが・・・、補給や敗残兵狩りなどの第二線部隊の被害は明確ではありません。
グルニア~ドルーア戦の間に「中核部隊以外で貢献しており、尚且つグルニアに対して強硬意見を主張していた有力者が死んだ」等の被害が生じていれば、戦後にハーディンが提案した条件が以前より甘くなっていても不思議ではありません。

3.の点に関してはこの時点では緒戦の大敗北の失点を取り返して戦前の勢力分布に押し戻しただけ、と言うのがアカネイア側の状況です。
大陸の盟主国の地位を取り戻す為には裏切り者のグルニアは手頃な生贄だったと思います。
何しろマケドニアは辺境の蛮族、ドルーアは「訳の分らん連中」で、勝利の宣伝の具体例としての価値は低かったのかもしれません。
一度大々的な勝利宣言を行えたので、戦後にハーディンの出した条件が軟化していたのかもしれません。

 あくまで当時の条件から考えた想像の域を出ませんが・・・。
ロギー
2016年01月11日 19:19
あけましておめでとうございます。

おそらくcvhiryuuさんの推測が正しいですね。
カミュの存在自体は厄介ですからね。
この戦でカミュは確実に倒されたと思います。
togege
2016年01月11日 19:44
>cvhiryuuさん、ロギーさん
コメントありがとうございます。今年もよろしくお願いします。
仰る通り、グラでの和平交渉が決裂したのはニーナら同盟軍の都合でしょうね。
アカネイアの王女でしかないニーナの権力基盤と権威は酷く脆弱なものです。その威光を高めるためには圧倒的な勝利の実績が必要でした。
個人的な関係性や自身の名声や武力を頼みに和平が成ると希望を持ったカミュは甘かったかもしれませんね。
ここでカミュを帰したのは、かつての恩人に名誉ある最期を、という温情ではなく、カミュが率いる最強の黒騎士団に勝ったという実績が欲しかったからだと思います。
ロギー
2016年01月12日 00:05
確かにカミュの見通しは甘かったですね。
しかし、軍才は師団長レベルで政治手腕は知事レベルという二流の加藤清正レベルの実力しかないカミュにそれ以上のを求めるのは酷かもしれません。
彼は覇者となるには優しすぎたと思います。

因みにマルス王朝下でカミュは高評価なのは彼を持ちあげる事でマルス王の偉大性をアピールする狙いでしょう。
尤もカミュを持ち上げるということはマルスの株をあげる作用もありますね。
逆に自分の死をもマルスに利用されたカミュはたまったもんじゃないでしょうがね。
あらた
2016年01月12日 21:39
久しぶりの更新お疲れ様です。
カミュが暗黒戦争で戦死したと考えると、外伝のジーク=カミュや英雄戦争のシリウスはマルスら勝利者たちや更に後世の創作になりますが、それだけカミュが類い稀な英雄だったという事なんでしょうね。カミュとニーナの悲恋がシリウス絡みを含めてことさら強調されたのはハーディン=悪とするマルス王朝の風潮も強いと思います。

名無し
2016年01月13日 00:26
シリウスとジークって創作だったんですか..。じゃあ、新紋章のロベルトとベルフとライデンはどうなるんでしょうか?ニーナを逃がしたときにとっくに処刑されてる又は戦死したのか、この3人も創作だったのか、本当にアリティア軍に加わって戦ったんでしょうか?
肉味噌
2016年01月13日 17:13
初コメントです。考察は以前から拝見しておりました。

マルスが自らの覇道にとって邪魔な存在である
ハーディンとニーナを効率よく抹殺するためにカミュを
利用したのだと考えると薄ら寒いものを感じます。

「ファイアーエムブレム」がマルス王朝のプロパガンダだとすると
メディウスとガーネフが英雄戦争時に本当に復活したことさえも
疑わしく思えてきますね。
lime
2016年01月14日 15:03
新年明けましておめでとうございます。

今年も考察を楽しみにしております。

ベルフ、ライデン、ロベルトが登場したのはBSのアカネイア戦記ですね。
マルス伝とはかけ離れた全四話からなるこれらの物語はマルス監修下で編集された『ファイアーエムブレム』とはまた別に広まっていた物語と思われます。

後世の人間達の価値観や歴史的研究をふまえて編訳を受けた『新・暗黒竜』『新・紋章』の本編でのベルフ達の登場は、アカネイア戦記で登場したカミュの臣下を加えて物語上の人間関係に厚みを出すためでしょうかね。

森蘭丸が歴史創作で脇役として頻繁に登場するのと同じ感覚。
lime
2016年01月14日 15:13
ニーナの逃避行を手伝ったベルフ達の実在自体は信憑性が高そうですが、史実の彼らがその後どうなったかは全くわからないですね。

立場的にはリメイク前のトムスやミシェランやトーマスみたいな感じで組織上の繋がり以外は全くわからない人たちですから。

逆にトムス、ミシェラン、トーマスがファイアーエムブレム原本で名前だけでも登場するのは、ミディア達と共にニーナ逃亡の為に戦った功績がアカネイア戦記でも語られていたからかも知れない。
名無し
2016年01月14日 18:16
でも何故バレンシアの物語にジーク(カミュと同一人物?)がいるんでしょうか。シリウスは創作でカミュは暗黒戦争で死亡、ジークも創作又は無関係?(カミュ=ジークとは物語で一回も言われていない)確かに肉味噌さんの言うとおりガーネフとメディウスが復活したことが疑わしくなってきました。復活した理由が物語ではちょっと適当すぎます。メディウスがいくら高い生命力でもファルシオンで倒された後、死体は二度と復活出来ないほどバラバラにされて燃やされているはずです。ガーネフも一部でスターライトで倒されなかった場合はメディウスを無視して再び暗躍すればいいし、一部でスターライトで倒され二部で復活する場合もメディウスを復活させる必要なんてないはずです。それにスターライトを壊さなかったのもおかしいです。壊せばマルスたちは詰んでガーネフの完全勝利なのに。仮に復活するとしてもガトーがその前に対策を練って防げるはずです。ガーネフがマフーを作り出した理由が変わってたりするのも疑わしく思う理由の一つです。)
lime
2016年01月14日 20:23
カミュ=ジークに関してはこちらの世界での源義経=チンギス・ハン説みたいな部分もあると思われます。
非業の死を遂げた英雄に救いを求める人間達の願いが具現化した存在。

史実のジークとカミュは全くの別人の可能性もあります。
lime
2016年01月14日 20:37
英雄戦争でのメディウスに関する事象として外せないのは、シスター失踪事件です。

ニーナが歴史の表舞台から消えたきっかけでもあります。

同じく拉致されてたレナやマリアは修道院で働くし、エリスもマリクとの結婚が語られる以上、一切合財抹消された訳でも無いのでしょうが、このイベントの意味する所も考える必要がありそうです。
肉味噌
2016年01月23日 02:42
私見ですが暗黒戦争におけるカミュ・ミシェイルの生存を史実とするならば、マルスには両人をハーディンへの対抗手段として自身の手駒に加える構想があったのではないでしょうか。

ミシェイルの生存は助命を請うマリアの声に応え、ハーディンのあずかり知らぬ所でマルスが密かに手引きをしたのでしょう。この時点でマルスの頭の中にはハーディンがマケドニアの統治者として擁立したミネルバではなく、ミシェイルを擁立するプランがあったと考えられます。

カミュはどうかというと、単にハーディンを嫉妬に狂わせてニーナもろとも排除するのが目的であれば、カミュが生きているかのように装わせればそれで事足ります。ミシェイル同様、ハーディン打倒後のグルニアの統治者としての役割を見込んで生存を手引きしたのでしょう。少なくとも、作中に登場している存命のグルニア人の中では彼以外にまともにグルニアを統治できそうな人物が見当たりません(消去法)。

マルスは英雄戦争の勝者とはなったものの、各国の統治者としてアテにしていた(と思われる)人物が死亡(ミシェイル)・行方不明(カミュ)・辞退(シーマ)と誤算続きで案外頭を抱えたのかもしれません。
名無し
2016年01月26日 20:42
>肉味噌さん
でもそれだとロシェ(新紋章の謎だとウルフとザガロとビラクも)がアリティア軍に協力するはずがありません。ハーディンが狂ったのは別の理由だと思います。ミシェイルは第二部3章でマケドニアは勝手にしろと言っているし、父王を殺してドルーア側について負けたのでもう論外レベルです。カミュ(=ジーク=シリウス)は創作ではなく本当のことだとしても英雄戦争終結後バレンシアに帰ってアカネイア大陸に戻ることはなかったと思います。本人も新紋章の謎のベルフとの支援会話でもう統治者になる気は全くありません。シーマは辞退で間違いないでしょう。ニーナはマルスにとって正直一番厄介です。アストリアやミディアみたいな人間や保守貴族がニーナ派についたらハーディンの二の舞です。ニーナは責任とれとよく言われますがアカネイア大陸から去るのが実は一番良かったのかもしれません(暗殺された可能性もあります。ばれてしまって、マルス(アリティア)軍vsニーナ(アカネイア)軍になってもマルスたちが勝ちそうです。アカネイアは一部初期ミディアレベルが護衛で神器なしアストリアとジョルジュを大陸一と言うレベルですから...。)
くそまじめ
2017年03月18日 19:57
ドルーアへ人質に差し出した王子・王女ってこの時点で救出されてましたっけ?
コンセプトにそぐわず、野暮なコメントばかり残して申し訳ないです。

この記事へのトラックバック