FE考察~ドルーア視点の暗黒戦争

画像

 暗黒戦争はドルーア、グルニア、マケドニア、カダイン(以下ドルーア陣営)対 アカネイア、オレルアン、アリティア(以下同盟軍)という大陸全土を巻き込んだ大戦の割にシンプルな図式の戦争である。

 同盟軍の方はニーナ王女を旗印に一枚岩と言える。元々宗主国と属国の関係なので、アカネイア王家唯一の生き残りニーナを頂点にした形はしっくりくる。大将軍がマルスというのは意外ではあるが、おそらくアンリとアルテミスの再現という物語による宣伝効果を狙ったものだろう。それを考えたのはハーディンと見て間違いない。ハーディンはメディウス打倒の名はマルスに譲り、自分はニーナの後見人としての実を得たのだ。ハーディンはニーナ保護の段階で暗黒戦争以後を見据えた戦略があったようだが、詳しくはのちのハーディン編で述べることにする。

 一方ドルーア陣営はドルーアの下にグルニア・マケドニアが付き、カダインのガーネフがコーディネーターとなっている。元々同盟軍のような上下関係が無く、それどころか仇敵とも言える関係のドルーア陣営がこのような形になっているのは実はとても不自然なのだ。何故ならドルーアから見ればグルニア・マケドニアは滅ぼすべき人間だし、かつての旧ドルーア帝国の土地を掠め取った存在である。
 旧ドルーアの解放奴隷を祖とするマケドニア人にとってドルーアはアカネイア以上に憎い仇敵である。ドルーアの下に付くなどあり得ない禁じ手である。実際ミシェイルは父王やミネルバから強く反対されている。当然だ。ミシェイルは父殺しという強引な手段で王位につき、対アカネイア戦争へと国の舵を切った。
 グルニアはラーマン寺院の存在が示すように人と竜の共存がある程度うまくいっている国だが(ただし支配層の大半はアカネイアから流れてきた者なので対竜族感情には地域差が大きいと思われる。)ゲーム中で敵の大部分がグルニア兵である事実からドルーア陣営で最大の勢力なのは間違いない。そんな強国が『ドルーアの脅威に怯え、その手先になった。』という汚名を着るのは面白くないはずだ。

 しかしそれでもあえてドルーアをトップに据えたこの同盟の形は各国にメリットのある、打倒アカネイアという大きな目的への一番の近道だと断言する。

Q.何故人間を滅ぼすのが目的の筈のメディウスが人間との同盟をうけいれたのか?
A.竜族だけでは人間に勝てないから。

 竜族はドルーア戦争以後もその人口は減っている。それに対し人間は増えていて、その上数を力にする術はより洗練されている。人間と竜族の差はドルーア戦争当時よりも遥かに拡がった。

 そこでガーネフはメディウスを唆すときに大体こんなことを言ったと思われる。
 『人間どもは昔よりも数を増しその勢力は強大になっております。しかしその中心は今も変わらずアカネイアのパレス王家です。そこさえ潰せば奴らはバラバラになり、後は各個に狩るだけです。幸い現在はアカネイアの支配を良く思わぬ者も少なくありません。まずは奴らにアカネイアを潰すようけしかけましょう。愚かな人間どもに潰し合いをさせるのです。』
 ガーネフは並はずれた知性、能力を持ちながら同胞である人間の中では認められず、妬まれ、疎まれたがゆえにねじ曲がり人間に対する復讐を誓うキャラクターを演じることで(本当にそうだったのだろうが)メディウスの懐に飛び込んだのだ。
 結局勝ち目の無い戦いに利用されるメディウスは滅びゆく竜族の象徴になってしまう。
;
Q.何故ドルーアをトップにすえたのか?
A 1.他にトップに据えられる人材がいないから。

 まず国力一番手のグルニアだが気弱で病弱と評される国王ルイでは役不足なのは明らか。黒騎士カミュではどうか?彼はその実力を認められて実際彼を擁立しようという動きもあるが、グルニアの諸将の中では若輩である。彼を立てれば他の将軍が黙っていないだろう。余計な火種を抱えるのは間違いない。またカミュ自身に野心が無いのもネックである。これはグルニア編で詳しく語ろう。
 ミシェイルならば実力、野心、カリスマ性は申し分ないが、当然ながら彼が立てばグルニアの諸将はカミュを擁立するよりも強い抵抗をするのは間違いない。
 ガーネフはグルニア・マケドニア両方から嫌われていて、人の上に立つ器としては落第点の人物である。彼のメッキの剥がれっぷりは後に詳しく語る。
 メディウスは地竜族の王としての問答無用の迫力、カリスマ性がある。会議の席で彼に楯突ける人間は想像出来ない(笑)かつてアカネイアを滅亡寸前まで追い詰めた実績もある。
 結局メディウス以外の誰が立っても主導権争いに没頭し組織の弱体化は避けられない。足の引っ張り合いで打倒アカネイアどころではなくなるだろう。

A2.聖王国に弓引く“悪”をメディウスに肩代わりさせ罪悪感を軽減させるため。
 メディウスをアカネイアを滅ぼす闇の象徴と位置付けたのだ。
 アカネイアを頂点とする秩序は、絶対の価値観としてこの大陸の人々に刷り込まれている。それこそ水戸黄門の印籠にひれ伏すようなレベルでだ。反アカネイア感情の強いグルニア・マケドニア人といえ例外ではない。いや、むしろグルニア・マケドニアの反・アカネイア感情はその価値観の裏返しともいえる。アカネイア打倒、という大逆罪を実行しようとする人間にはよほどの強い覚悟が必要なのだ。
 実際ゲーム中のグラ王ジオルと側近の会話シーンの
 『ばかもの!なぜ反乱軍と言わぬ!』『はっ申し訳ありません。この頃はみんな同盟軍と呼ものですから つい…』
 というやり取りはドルーア陣営についている人間の中にも無意識のうちにアカネイア=正義、ドルーア=賊軍という認識がある事を示すシーンである。この頃になるとアカネイアのニーナ王女の下に人々が集い連戦連勝。ドルーア側の末端の兵士たちは自分たちの正義が揺いでいる。自分たちは賊軍側にいるという不安や罪悪感で士気はガタ落ちだ。
 ニーナを逃がしたカミュや同盟軍に寝返ったミネルバの行動も人間世界の秩序に逆らう罪悪感が大きかったのではないだろうか。
 
 しかし竜族であるメディウスにはアカネイアの威光など関係無い。アカネイアに弓引く罪悪感も全く無い。打倒アカネイアの旗印としてこれほどうってつけの存在は無い。強大で邪悪な暗黒地竜メディウスの力の前にやむなくその手先になったという言い訳にもなっている。
 しかしメディウスをトップに据えた程度では、いずれアカネイアに弓引く罪悪感を抱くようになるのは最初から分かり切っていたはずである。それを解決する方法はある。
 『アカネイア王家を根絶やしにすればよい。』
 従うべき頂点が無くなればアカネイアの秩序は崩れ、その秩序に逆らう罪悪もくそも無くなる。ただし一人残らず殺さなければいけない。一人でも残すとどうなるかはアルテミスの例で明らかである。そしてニーナの時も同じ道を辿ることになる。

 よってドルーア陣営の勝利条件は『自軍の悪を自覚する前にアカネイア王家を根絶やしにする。』しかない。

 そしてアカネイア滅亡後の正義を勝ち取るためには『暗黒地竜メディウス討伐の英雄』になるのが一番の近道。
 つまりドルーア陣営はその後の対立、決戦を前提としたアカネイア打倒という目的を果たすまでのドライで合理的な同盟関係だったのだ。
 暗黒戦争でのメディウスは人間に利用されて使い捨てにされるための存在だといっても良い。

 かつてのドルーア戦争は人間と竜族とで大陸の覇権を争う決戦だったが、暗黒戦争は完全に人間同士の覇権争いに竜族が利用されてるだけという形になる。

"FE考察~ドルーア視点の暗黒戦争" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント