ドラクエⅡ考察~サマルトリア王子の静かなる戦い(後編)

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【父王と妹姫は敵?味方?】
 前回の考察でも触れたが、父王と妹姫はロトの血を引いていない可能性がある。その場合彼らは反王子派に属する可能性が高い。

 サマル王子と妹姫の仲は良いが、妹姫が非ロト系だった場合は妹姫本人の意向に関係なく反王子派に担がれる可能性が高い。
 ロト系だった場合はどうか?反王子派に担がれる存在では無くなるが、サマル王子に対する人質としての価値がある。
 
 父王はどうか?彼もロトの血を引いていた場合、ほぼ自動的に妹姫もロト系となる。ロト系で反王子派というのはありえない。そうなると妹姫以上に人質としての価値は高い。

 非ロト系で反王子派だった場合は表向きローレシアに良い顔しながらも息子を疎んじている腹黒い父親という事になる。
 その場合はローレシア王子がハーゴンを倒しながらもサマル王子は旅の途中で命を落とす事が理想のシナリオだろう。息子殺しの汚名を着ずにロトの血族を排除出来るからだ。後継ぎは他に非ロト系の王子が存在するなら彼に継がせるだろう。いなかったら反王子派の若手有望株を妹姫の婿殿として迎えれば良い。
 父王は反王子派か否か?結論はひとまず置いておく。

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【ハーゴンの呪い?】
 リメイク版では“ハーゴンの呪い”によりサマル王子が病に倒れ一時パーティーを離れるイベントがある。(離脱したままエンディングまで行くことも可能)
 本人はハーゴンの呪いだと言っているが、ハーゴンの仕業だと裏付ける証拠は何も無い。サマル王子が勝手に言っているだけだ。なので仮病説も含め、想像の余地は多い。

 ここで仮説を立てる。
 『サマル王子は反王子派に一服盛られたのでは?』
 前回の考察でサマル王子が旅立つことで、サマルトリアはローレシアと協力しハーゴン討伐をする方針を確定させたが、それは表向きの事。反王子派のサマル王子への憎悪が消えて無くなったわけでは無いし、クーデターのチャンスはずっと窺ってたはずである。
 そうなると、もう一つ謎が生まれる。
 なぜサマル王子はローレシア王子たちに反王子派の暗躍を隠しているのか?
 ロトの血を分けた兄弟にも等しい仲間のはずなのに水臭いではないか。

 反王子派が最もされたくない事は何か?
 それはローレシア等の他国の介入を招かれることである。

 サマル王子は反王子派に旅先での言動を常に監視されているのだ。
 反王子派はサマル王子を脅す切り札も持っているだろう。シンプルで効果的なのは人質だろう。うってつけなのが本国に残る妹姫と父王である。

 父王が人質にされたら見捨てる事は出来ない。(王子派の)父王を失った場合、すなわち本国のクーデターが成功した時はハーゴン討伐の旅を中止してサマルトリアをに帰らなければいけない。サマルトリアの王位を巡った戦乱、それもローレシアも巻き込んだ大乱になる。そこをハーゴン軍に突かれる可能性も高い。絶対に避けたいシナリオである。
 父王が反王子派だった場合は人質は成立しない。妹姫だけなら最悪切り捨てることも可能だからだ。

 そう、実は父王は王子の味方である可能性の方が高い。

 しかしサマル王子は自分と反王子派の問題にローレシアを介入させる気は毛頭も無い。サマルトリアの国内問題にローレシアを介入させる口実を与えれば、後々ローレシアの内政干渉を受ける事になり最悪サマルトリアがローレシアに乗っ取られる事態も考えられるからだ。

 ローレシア王子とムーン王女が本当の信頼関係で結ばれた仲間ならば、サマル王子の静かなる戦いに気付いていたとしても、サマル王子の方から助けを求められない限りは気付かないふりをしているはずだろう。


【天才・サマル王子の備え】
 サマル王子がローレシアに接触するチャンスは1回あった。それは最初の旅立ちで単身ローレシアに寄った時である。この時は急な旅立ちであったため、まだサマルトリアの反王子派に捕捉はされていなかったはずである。もしかしたら勇者の泉よりも先に訪れた可能性もある。
 この時に打った手のひとつは、自分か父王にもしものことがあれば、ロトの名のもとにサマルトリアを併合する事を進言した事である。
 ただしその前にローレシアがサマルトリアに介入した時には王子の寝首をかくとも言っただろう。
 
 ローレシアには先にサマル王子を暗殺するという選択肢もあるが、それをされない確信はあった。
 サマルトリア領という目先の利益に下手に食いつけば、そこをハーゴンに突かれるのは確実だ。その先に待つのはムーンブルクと同じ運命である。ローレシアがハーゴンに対抗するために必要なのはサマルトリアとの同盟関係なのである。

 サマル王子は反王子派に会見の内容を伝えた。自分と父王、妹姫に手を出せばローレシアが攻め入って来るぞという脅しである。逆に自分たちが無事ならローレシアは手を出さないという約束を取り付けてもいるので、サマル王子は自分と父王、妹姫、そしてサマルトリア王国を守るための手を抜け目なく打っていたのだ。
 
 ローレシアでもう一つ打った手はローレシア王に自分は一度サマルトリアに帰ると嘘情報を伝え、ローレシア王子をサマルトリアに誘導したことである。ちょっとした牽制にはなっただろう。

 まんまと出し抜かれた形になった反王子派はサマル王子にローレシアの介入を招くなら父王と妹姫の無事を保障出来ないと脅し、サマル王子の旅先での言動を厳しく監視することにした。

 サマル王子は脅しに怯えるフリをしながらスパイを泳がせることにした。スパイを通して情報を本国の反王子派に流してコントロール出来ると考えたからである。

【ベラヌール事件の真相】
画像 自説をひっくり返すのは少し気が引けるが、『反王子派に一服盛られた』説は成立しない。そんな事をすればローレシアの介入は避けられないからだ。
 そうなるとベラヌール事件の真相で残る可能性は
①本当にハーゴンの仕業
②単なる病気
③仮病

 となる。①の場合は呪いだけでなくハーゴン側が一服盛った可能性も含まれる。とても素直な結末だが可能性としては低くはない。この説を否定するならベラヌールは世界で最もハーゴンの勢力の及んでいない地域だという事。これについては後に『再考・ベラヌール編』で詳しく考察したい。
 ②は実につまらない結果だが、これも十分あり得る。しかしただの病気ならなぜ『ハーゴンの呪い』と言ったのかが説明出来ない。反王子派に一服盛られたと思われないようにする必要はあるが取り立ててハーゴンの呪いと言う必要はあるのだろうか?サマル王子の勘違いかもしれないが、そうなるとサマル王子がハーゴンの呪いと思った根拠が必要になる。

 残るは③の仮病だが、仮病を使う目的は何だろうか?
 狙いはローレシア王子とムーンブルク王女と離れて単独行動をすることだろう。おそらく一度パーティから離れて、本国の反王子派と決着をつけに行ったのではないだろうか。
 旅先で倒れて見せることによって、反王子派のクーデターを誘ったのではないか。実際にクーデターが起きて初めて敵味方がハッキリしただろう。
 この時反王子派も新王子派(父王・妹姫含む)も旅先で病に伏せてるはずのサマル王子が現れてさぞや驚いただろう。こうして主導権を握って、国内の内輪もめにケリをつけてハーゴン討伐に専念できる体制を固めるのが狙いである。

 この時、もう一つの可能性がある。それはサマルトリア国内の総意が反王子派だった場合。すなわちサマル王子が敗北する可能性である。サマルトリア国民がロトの血を引く王家の統治にNoを突き付けるという革命の成功というシナリオである。父王も妹姫も無事な所を見ると無血革命っぽい。この場合、自由な立場になってロトの子孫としてハーゴン討伐に専念することになる。
 
 

この記事へのコメント

togege
2011年06月18日 09:43
サマル王子が王位を追われるシナリオはあくまでも可能性の話です。
愛する国民を守るために命懸けで戦ったのに、国民からは結局外圧頼みの王子という評価のまま追放されるなんて、すごく可哀想です。
とはいえ天才ゆえに理解されない孤独を抱えるサマル王子像は魅力的だと思います。
同時代の天才にして英雄になれたローレシア王子との対比は今後の考察で触れるつもりです。

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