FE考察~マケドニアの真実

画像【マケドニア編・序論】
 マケドニア王国は“ファイアーエムブレム”の中ではその活躍が目立つ。特に “アイオテの再来”ミシェイル王は勇敢で恐ろしい敵の竜騎士の象徴として、“赤い竜騎士ミネルバ”は頼もしく華麗な味方の竜騎士の象徴として、英雄物語“ファイアーエムブレム”に華を添えている。
 元は仲の良い兄妹でありながら敵味方に分かれた、戦争の悲劇性を伝える存在でもあり、物語上都合の良い登場人物とも言える。

 “ファイアーエムブレム”で活躍する英雄に数えられるミシェイルとミネルバ。しかし実際はどうだったのか?が今回のテーマになる。

【マケドニアの背景】
  デザイナーズノート#1デザイナーズノート#3によると、マケドニアは旧ドルーアの反乱奴隷のリーダー・アイオテが初代国王で、ミシェイル・ミネルバは彼の子孫に当たる。
 建国にあたり、アカネイア王カルタスは多大な援助をしたが、その裏では同時期に建国されたグルニアに対抗させる意図があったとされる。しかし実際はアカネイアの属国として、富を吸い上げられ、内政干渉をされるという屈辱を共有するグルニアとは、心情的には共感を抱いていたとされる。
 ただし、元が奴隷や蛮族の国だったマケドニアは、アカネイアのオーダーの上では、グルニア(元アカネイア騎士の国)よりも格下なのは明らか。(アカネイア≧オレルアン>グルニア≫アリティア≧グラ≧マケドニア>その他というイメージ) メディウスの復活に際し、マケドニアは厳しい選択を迫られた。ドルーア・グルニアとの同盟を受け入れて対アカネイア戦争に加わるか、拒否してアカネイア・アリティアと共にドルーアに立ち向かう。この時、ミシェイルと父王の間で意見の対立があり、結局ミシェイルは父王の暗殺という強引な手段で対アカネイア戦争参戦の方針に舵を切った。 

【マケドニアの現実】
 結果から見ればミシェイルの賭けは裏目に出た。そしてミシェイルは無謀な戦争を始めて国を滅ぼした暗愚の王という評価になる。なぜこうなったのだろう?

 まずはマルスがタリスで旗揚げした時点のマケドニアの状況を整理してみよう。
 パレスを制圧した時点でアカネイア領を山分けしたグルニアと違い、マケドニアは領土を増やせていない。
 一応オレルアン城を押さえてはいるが、肝心のニーナ王女やオレルアン王は捕まえられず、2年近く“草原の狼”ハーディンのゲリラ戦法に振り回されている。
 そもそもカミュがニーナを逃がしさえしなければ、本来ドルーア陣営にとっての対アカネイア戦争はパレス制圧の時点で終わっていたはずで、オレルアンは“攻める必要の無い土地”だったはずだ。しかもオレルアンは本国マケドニアからは地の果てとも言える場所にあり、決して“欲しかった土地”ではない。そんな場所で2年近く戦っているのに勝利が見えない。マケドニアにとってはひどく不本意な状況で、『もうイヤだ』と思うのはマチスだけではあるまい。

 何故オレルアンに攻め込んでいるのがマケドニアなのか?
 ニーナをオレルアンに逃がしたのはカミュであり、この件はグルニアに責任がある。にも関わらず、グルニアは諸将が山分けしたアカネイア領の統治を始めて、『こっちはそれで手一杯だ!』と言いたげにニーナ追跡をマケドニアに押しつける形になっている。グルニアにとってもオレルアン攻めは、苦労の割にうま味の無い仕事なのだろうが、重要なのはマケドニアがとても立場が弱いという事実だ。

 オレルアン攻めに際し、グルニアのマケドニアへの態度はこうだ。
 『ニーナを逃がした責任?そんなのカミュが勝手にやった事だ。カミュは折角手に入れた土地を取り上げられて国に返されたし、この件に関してグルニアはもう責任を取ったよ。そんなにニーナを捕まえたきゃ、お前らがやればいいさ。領土が欲しいならオレルアンをくれてやるよ。』
 理不尽な話である。しかしパレス制圧時点で新たな領土を得られなかったマケドニアはこの話を受けるしかない。地の果てへの遠征の苦労と出費、成功の見込みの低さを承知でもだ。ニーナを捕える事が出来れば、事態を好転させる切り札にはなる。
 だが、この時点でマケドニアはオレルアン攻めを取り止めて、本国に帰るという損切りの選択は出来なかったのだろうか?マケドニアにはそれさえも出来ない事情があった。

【マケドニアの弱み】
 ドルーア陣営におけるマケドニアの立場は弱い。レフカンディのハーマインとミネルバのやり取りからもそれは窺える。そしてゲーム中での敵の竜騎士の運用法からもそれは窺える。
 マケドニア軍、特に陸軍は戦力としてあまり期待されていなかったのではないか。しかし竜騎士団は便利だから援軍としてあっちこっちに派遣されていた。あっちこっちに派遣されていた分戦力は分散されるし、グルニア主体の軍で使われる竜騎士団ではその運用法も本来の力を発揮出来るものではない。そうしてマルスの軍に各個撃破されていった。

①対アカネイア戦争に参加して勝利を得たにも関わらず、新たな領土を得られなかった。
②グルニアの尻拭いで奥地オレルアンへの更なる遠征を強いられる。
③主戦力であり、国の象徴ともいえる竜騎士をいいように使い捨てにされる。


 以上3点から導き出される答えは…
 マケドニアはドルーア・グルニアとは対等な同盟関係ではなく、隷属関係だった。
 
【マケドニアの真実】
 そもそもマケドニアはグルニアとドルーアに挟まれた位置にある。その状態で両国を敵に回せるだろうか?宗主国アカネイアには本国から離れたマケドニアを助けるために援軍を出すメリットがあるのだろうか?援軍を出せるとしたら近い位置にあるアリティアかもしれないが、グルニアとドルーアに対抗出来るほどの戦力は無いし、宗主国アカネイアの許可が要る。

 何が言いたいか?
 後のマルス王朝の正史“ファイアーエムブレム”ではグルニアがドルーアを怖れて隷属したとされているが、それは嘘っぱちで、むしろドルーアを怖れて隷属したのはマケドニアの方だということだ。
 ドルーアとグルニアに挟まれたマケドニアが両国に無条件降伏したから、のちの暗黒戦争では使い捨ての駒として扱われたと考えるのが自然ではないか。
 おそらくミシェイルの父王はアカネイア・アリティアからの援軍を期待してドルーア・グルニアからの要求を突っぱねようとしたが、その方針に反対したミシェイルが父王を殺したのだろう。いや、父王の首を差し出してその傘下に入ったと見るべきか。
 
 マケドニアはドルーア・グルニアの走狗だった。しかし正史“ファイアーエムブレム”ではその事実は隠されている。なぜだろうか?
 それを述べる前に、次回はまずミシェイルを中心にマケドニアの真実を考察してみたい。

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この記事へのコメント

cvhiryuu
2014年02月06日 12:29
マケドニアの社会ですが、私は中世の甲斐や木曾に似ている可能性を考えました。

甲斐、木曾は山に囲まれた盆地で、尚且つ温帯多雨地域に位置しています。ここでは盆地に農場を作るのは鉄砲水が怖いので、農民は台地で雑穀や果樹を栽培し、盆地の地主達は土地を牧場にして馬を育て、大雨が降れば馬を連れて高台に逃げる、という社会が続いていました。マケドニアの産業はこの甲斐、木曾の産業形態に「飛竜と天馬の育成」が加わったものでは無いでしょうか?

経済に難があるにも拘らず、甲斐、木曾兵の戦闘力は圧倒的なものでした。中世初期の木曾義仲、末期の武田信虎共に5倍以上と言われる敵軍を全滅させる、当時としては桁外れの戦果を記録しています。彼等の戦術は基本的に「山地を敵の予想外の速度で進軍し、側面から敵中枢に突撃する」というもので、家畜の扱いと山歩きの双方に慣れた人間を多数抱えているからこそ出来る戦法です。

しかし、絶大な戦闘力を誇った木曾兵も武田騎馬軍団も「自身の得意戦法+経済力」を兼ね備えた敵に滅ぼされている点は共通しています。木曾義仲は同じく「山間部の高速進軍」を得意とする義経+「堅実な補給」を務めた頼朝の兄弟タッグに敗れ、武田勝頼は長篠の合戦において、山地から攻めてきた織田・徳川軍別働隊に輜重部隊を壊滅させられて、重防御の陣地に立て籠もった鉄砲隊への自殺的な突撃をする羽目に陥りました。

この点も、マケドニア同様の騎兵+飛行兵活用戦術を使い、タリスという海運国をバックに付けたマルスに敗れたミシェイルを髣髴させます。ミシェイルはアカネイア大陸の木曾義仲?
togege
2014年02月06日 23:13
>cvhiryuuさん
コメントありがとうございます。
なるほど山っぽいマケドニアのイメージは甲斐や木曽、たしかに。山岳地帯に敵大軍を誘い込んで、地の利で一網打尽といイメージは共通しますね。FEの竜騎士はトラキアもベルンも山岳地帯出身ですしね。
マケドニアの国土は広くとも険しい山岳地帯が多く、未開発で生産性が低い。すなわち人口が少なく貧しいという姿が想像出来ます。
ミシェイルのイメージはSFC版以降の貴公子よりもFC版のワイルドな姿の方が相応しいのかもしれません。新暗黒の士郎正宗氏の描いたミネルバもワイルドですよね。

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