ドラクエⅡ考察~大神官ハーゴンの世界

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【ハーゴン教団のヒエラルキー】
 ハーゴンは破壊神シドーを信望する教団の神官たちの中でもトップの位に就く者として”大神官”を名乗っている。実際王子たちと出会った時にも『誰じゃ?私の祈りを邪魔する者は?愚か者め!私を大神官ハーゴンと知っての行いか?』と言っている。
 またこの時の会話で”いいえ”と答えると親切にも(笑)『では憶えておくがいい。私が偉大なる神の使いハーゴン様じゃ!』と教えてくれる。実に尊大な態度ではあるが、王子たちに倒された時に『我が破壊の神シドーよ!今ここに生贄を捧ぐ!』という台詞から、(捧げる=慎みの心をもって、神仏や目上の人などに物を差し出す。献上する。)シドーに対しては純粋な畏敬の念があるらしく、ハーゴンは自らをシドーの忠実なしもべと規定しているようだ。

 ハーゴンの尊大な態度は『神>自分>その他』という厳格な階級意識を持っていることの現われではないだろうか。ハーゴンの神殿における敵配置にもそれは表れていて、ハーゴン>ベリアル>バズズ>アトラスの出現フロアはそのまま彼らの上下関係を表していると考えられる。そして彼らの出現フロアに他の魔物が一切出現しないのも、神殿の上層部には階級が下の者が踏み込むことを許さないことを表している。
 そう考えると、王子たちが自分のフロアに踏み込んできたのは許し難いことだった。といってもハーゴンの価値観では王子たちなど虫けらに過ぎず、ロトの血筋も王族であることなど意味を為さない。感覚としては自分の寝室に虫が入って来たようなものだろうか。

 厳格な階級意識こそが大神官ハーゴンを理解する重要なキーワードの一つといえる。ハーゴンはドラクエⅡ世界の最も高い場所にいるという位置関係によって彼の世界のヒエラルキーを表現している。おそらく見上げる形でシドーに祈りを捧げ、シドーは神殿の上から現れたと考えられる。

【魔法偏重の価値観?】
 以前の考察でも述べたように教団の価値観は魔法=賢さと捉えた魔法偏重と言える。(参考:モンスター編5魔物は教団を映す鏡)

 教団の神官たちは魔物を改造して魔法を使えるようにすることが多い。特にベホイミとルカナンを使える骸骨戦士には”ハーゴンの騎士”という名誉ある呼び名を与え、グールにはわざわざ弱いギラの呪文を仕込んで優れたパワーをスポイルしてしまっている。(参考:モンスター編
 彼らの魔法偏重の価値観は身体能力に優れた魔物だけでなく、人間たちの中でも戦士に及ばない僧侶・魔法使いの身体能力のコンプレックスの裏返しでもあるのではないかと考える。また元はムーンブルク社会の上流階級の出身である可能性が高い。(参考:在りし日のムーンブルク)

 教団の神官やムーンブルク社会の上流階級を支配する魔法偏重の価値観だが、ハーゴン自身は必ずしもそうでもないようだ。なぜなら神殿の上位フロアに全く魔法を使えないアトラスを配置しているからだ。魔法だけでなく身体能力も重要視している。より深く推察するなら、ハーゴンの理想は身体能力と魔法を両立した肉体なのではないか。悪魔族の上位種のベリアルやバズズはその理想に近く、ハーゴン自身も理想の肉体を体現している。

 魔物の改造の目的は戦力として組み込むのはついでで、本来は理想の肉体を作る研究の一環だったのではないか。
 では何故理想の肉体を作ろうとしたのか。
 ハーゴンたち神官はその知力や魔法により自分は優れた存在であるという自負があった。しかし下賎な人間や魔物に力で制されることもあったし、卑劣にも罠に嵌められることもあった。それでも魔法の技術や知識を彼らのプライドを支えていたが、それさえもひっくり返す存在がいた。身体能力と魔法能力を兼ね備えた悪魔族である。神官たちの中でも特にプライドが高いハーゴンは悪魔族こそ理想の存在とみなし、自ら悪魔族をも超越した身体・魔法能力を身に付けた。そしてハーゴンを頂点に悪魔族と神官の二本柱で支える教団組織を作り上げた。

 ハーゴンは魔物たちを人間の上位に配置するために魔法を仕込んでいたのではないか。ムーンブルク社会のヒエラルキーは(魔法の使える人間>魔法の使えない人間)であり、その上に人間よりも強靭で魔法も使える魔物を置くという形だ。ハーゴンは厳格な階級意識を持つゆえに、その正当性の証明を自他共に厳格に求めた。
 特に不死系のモンスターは下賎な人間どもを教団の下僕として生まれ変わらせる“救済”と位置づけていたのではないか。ハーゴンにとって生きた人間は穢れた存在だった。

【ハーゴンの人物像】
 ハーゴンの行動は自己愛の強い人間のそれに当てはまる。例えば尊大な態度、共感性に欠け、他人を利用するとか、自分は特別であるという誇大性、過剰な賞賛を求める、あとは神様や有名人などの対象に過度な崇拝という特徴もある。
 元々優秀な努力家で、自分は特別な存在だという自負があった。しかしその尊大な態度により周囲からは自分の思うような賞賛が得られなかった。彼は凡人どもから妬まれ、疎まれ、迫害されたと感じた。そして彼は人間そのものを否定するようになり、悪魔に身も心も捧げた。彼の全ての行動は人間への憎悪から生まれた彼の誇大妄想の世界の実現が目的なのではないか。

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この記事へのコメント

togege
2014年05月14日 22:43
 久々のドラクエ2考察です。
 ハーゴンはドラクエのラスボスの中でも特に人間臭いというか、自己愛の強い人間そのものの言動だと思いました。ゆえに当ブログではハーゴンと神官たちは“元”人間説を採用します。指減ってるし(笑)神官たちも自己愛型人間で、カリスマ性のあるハーゴンを崇拝し彼に喜んで尽くしているというイメージです。
あき
2014年05月16日 13:20
更新きたーーー!
togege
2014年05月16日 14:31
>あきさん
コメントありがとうございます。
大変長らくお待たせしました。
aaa
2014年05月19日 04:07
いつも更新を楽しく読ませて頂いてます、今回も面白かったです。

役に立つかどうかは分かりませんが御参考に。

「大神官」の検索
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E5%A4%A7%E7%A5%9E%E5%AE%98

だと あくまで

最高神祇官 - Wikipedia
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E9%AB%98%E7%A5%9E%E7%A5%87%E5%AE%98

という多神教のローマ帝国の「官職」になります。いわゆるキリスト教的な一神教の「役職」では無いんですよね。

ちなみに古代ローマにおける神官は、当然に全て無給なので兼職です。というか 祭事や神事の時 に持ち回りで取り仕切る みたいな感覚でしかないですから、本来は 偉いとか凄いとかの意味すら薄いです。だから「官職」なのです。自治会の意識の延長線上みたいなモンでしかないのです。

なので、一神教の教団化と多神教の教団化の微妙な差異が有るかもしれませんが、結局に「カルト化」な“一握りの存在が、有無を言わさず、全てを専制独裁的に支配管理統制する組織や集団”へと如何に変質したか、がハーゴン教団を読み解く鍵の一つなのかもしれないのかな、なんて想像したりしました。
togege
2014年05月19日 07:14
>aaaさん
コメントありがとうございます。
これを書く前に「大神官」の社会的、宗教組織的な側面からのアプローチは考えましたが、もっと練り込む必要があったので、今回はハーゴンの生身の人間っぽさに絞りました。
「大神官」についての考察は近いうちにまとめます。
PRS
2014年05月19日 12:25
ハーゴンは、元来はムーンブルク周辺出身の人間で、当初はその優れた知性で魔法を研究し、人々のために役立とうとしていたものの、愚か(に見える)民衆に嫌気がさし、衝突の末に国を追われるように出ていき、辿り着いたロンダルキアで悪魔族に魅入られていった・・・というイメージでしょうか。

思えば、ハーゴンは神官の割に攻撃力が高いですよね。
マホトーンが成功しても2回攻撃のダメージはかなり大きかった気がしますし、素早さもそこそこ高かった記憶があります。
正直、2回攻撃を集中された時が攻略にあたって一番のピンチだったと思います。
グールほど極端ではないものの、強力な攻撃力があるにもかかわらずイオナズンや炎といった普通の人間には使えない攻撃手段にこだわるのは、高い素早さも含めて自分が万能の超越者であるという矜持を示したいから、だったのかもしれませんね。

ハーゴンが敢えてイオナズンを使ってくるのが、普通の人間には使うことができない、悪魔と取引をした者(含、悪魔神官)にしか使えない魔法を見せつけるため、であるならば、
ドラクエ2の世界で唯一、通常の人間で、それもかなり若くしてイオナズンを使える域に到達したムーブルクの王女の魔法の才能は計り知れないほど高いように思えてきました。

今回も楽しく拝読させていただきました。
読めば読むほど考察の余地が広がるようで、大変楽しいひと時を過ごさせていただいております。ありがとうございます。
togege
2014年05月19日 20:49
>PRSさん
コメントありがとうございます。
言われてみるとムーン王女の才能は凄いですね。当ブログでの王子たちは後のシリーズ作や漫画のような超人ではなく人間として扱ってきたんですがね。天才、英雄であっても人間の範囲内というか。
ハーゴンの行動原理は自分の優秀さを見せつけて賞賛を得ることに尽きます。
PRS
2014年06月01日 23:07
前回のコメントにて、ハーゴンの攻撃手段は炎ではなくて甘い息でしたね。失礼いたしました。

今までのハーゴンについてのご考察を再読させていただきました。
ハーゴンがシドーを召喚する目的は、シドーの圧倒的な破壊力を我が物にすることで世界を掌握し、全人類をひれ伏させること、と読み取らせていただいております。
とはいえ、彼(でいいですよね)の自己顕示欲を満足させるためには、自分を認める相手がいなければならず、シドーが暴走してハーゴン以外、あるいはハーゴンもろとも世界を破壊しつくしてしまえばその目的は達せられないことでしょう。

今後のご考察にて明らかにされると思われますが、ハーゴンはシドーを召喚し、手なづける自信があったということでしょうか。
普通にハーゴンとシドーが戦った場合、ハーゴンは勝てるのだろうかというのが疑問です。
イオナズンやラリホー系は無効ですし、攻撃力も守備力もシドーのほうが上ですから、確率としては7割ぐらいシドーが勝つような?
知性の高いハーゴンがそのような危険な戦いを使用と考えるとも思えません。

ローレ王の最初の言葉より、ハーゴンが怪しい動きをしていることが以前から周囲に知られていたことは明らかです。
それだけあからさまに研究に没頭していたということは、シドーを操れる方法(まさか、マヌーサザラキ!?)をものにしていたのかもしれませんね。
ゲーム内ではそれこそドラクエ3の光の玉のような、シドーを弱体化できるようなアイテムも話も出てこないので、ご考察の余地があるように思えます。

余談ですが、SFC版のドラクエ2では、ハーゴンの神殿に行くためには隣の塔を登っていき、最後に橋を渡って入る(入口の番をしているのがべリアル)演出になっておりますが、確かにこれもハーゴンの自身の階級の高さを見せつけているように思えますね。
togege
2014年06月02日 14:20
>PRSさん
コメントありがとうございます。
ハーゴンはリメイク版では火ぃ吹きます。敵の行動やパラメータは結構変更点が多いようです。FC版で炎を吐かないのは意外かもしれません。
ハーゴンがシドーを御する方法を持っていたのかどうかは謎ですが、この辺は次回かその次の本記事で書きます。
uma-
2015年05月16日 12:20
こんにちは
ハーゴン軍団の魔法偏重という考察に関連して、ドラクエ2世界でのMPについて色々考えてみました

魔導士にとって最大のピンチは、戦闘中にMPが尽きることでしょう。MPの節約と回復手段は、魔導士にとって永遠の課題ではないでしょうか?
しかし、ドラクエ2世界の魔物たちは無限のMPを持っています。ハーゴンらはこれに目をつけて研究を重ねた結果、シドー信仰に行きつき、シドーと何らかの契約を結ぶことによって無限のMPを手に入れたのではないでしょうか?しかしこれは従来の魔導士にとっては禁じ手とされるようなもので、特にムーンブルクあたりからは「邪教」と言われたのかもしれません

MPの回復メカニズムは不明ですが、宿屋に宿泊すると回復することから、睡眠が大きな役割を果たしている気がします。
そして気になるのが、ラダトームとロンダルキアの「光あれ」爺さんの存在です。祈りの指輪は彼らの技?を研究して作り出されたのかもしれませんね。
togege
2015年05月16日 21:38
>uma-さん
コメントありがとうございます。MPはそれだけで一本書ける題材だと思います。そう言えば6だったかの特技でMPを回復する「ねる」があったような気がします。
nedvedpavel
2015年05月17日 11:48
そう言えばシドーにはラリホー効きましたね。
光と闇と睡眠がキーワードのアレフガルド、
もしかして白夜と極夜の世界なんでしょうか?
地球だと極地ですが、あの世界では温帯的地域
でも日照のある時と無い時の差が極端です。

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